口コミやSNSに端を発し、今やテレビ、雑誌で見ない日がないほどに話題の高級生食パン「乃が美」。一日に5万本以上を売り上げる「高級食パン」ブームの牽引者です。
渦中の阪上(さかがみ)雄司社長にお話を聞きに行きました(11月8日)。1週間後の11月15日に麻布十番にお店を出すことで大忙しのはずなのに、なんとか時間を割いて会ってくれました。それというのも、阪上社長の取材は、実は今回で3回目。最初は10年前、まだ阪上社長がパンを作る前です。大阪プロレスの経営を始めて間もないころ、おもろそうやな、と取材させてもらっています。
次は3年前。すでに食パンを売り始めていましたが、当時は大阪の上本町本店と西宮の2店だけでした。それでも、11時開店と同時に約50人のお客が行列を作り、1日平均1000本を完売していました。確かにすごい人気でしたが、その時、阪上社長から「今後、全国都道府県に1店舗を設置したい」と言われて、正直、半信半疑の思いでした。
いくらおいしいと言っても、食パン単品で全国制覇ができるんだろうか、と思ったのです。ところがそれから3年で、店舗数は108店(2018年11月15日現在)。1県に2~3店舗、それもFC(フランチャイズチェーン)ではなく、直営ないし関連会社による経営です。失礼な予想は見事に外れましたが、筆者としても嬉しい誤算です。その驚異的な成長の理由をお聞きしました。
「大阪プロレス」経営から理想のパン誕生まで
「乃が美」は従業員1500人(パート含む)。本社は最近、大阪市内の中心部に引っ越しました。
阪上社長は現在50歳。生食パンの前は、焼き肉店を経営していました。実家がお米屋さんで、祖父が経営に苦労しているのを見て、そこの売り上げを少しでも増やせたらとお米を扱う商売を始めたそうです。
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