経営者には心得ておくべきことが、いくつかあると思います。なにより大切な心得は、まず、社員の誰にも負けない「熱意」というものを持つということでしょう。経営者には、会社の発展のために「命を懸けるほどの思い」というものがなければなりません。規模の大小を問わず組織の中で、会社の中に1人ぐらいは、人生から仕事を取り除いたら何も残らない、というほどの「滾(たぎ)るような熱意を持った人」がいなければ、その組織は成り立っていくはずがないのです。
もちろん、この心構えは、一人ひとりの社員に求めるべきものではありません。社員は、それぞれの役割を果たすだけで十分で、必ずしも命を懸けるほどでなくても許されます。しかし、社長たるものは、イギリスのウィンストン・チャーチルの言葉のように、つねに「Alone very well!」(俺1人で十分だ。このイギリスを救ってみせる)という強烈な熱意、また、武士の心得を書いた『葉隠』にあるように「芸は身を亡ぼすなり」、すなわち、心に「遊び」「すき」があるときに失敗するとありますが、そのとおりでしょう。
社長たる「役割」を果たす、その間は、決して「心を許して、遊んではいけない、死をも覚悟するほどの熱意がなければいけない」ということです。これが心得の第一です。
言動には「一貫性」が必要
2つ目は、その言動に「一貫性」がなければならないということです。社員が同じことをしても、あるときは評価し、あるときは叱責する。ある社員は厳しく注意するけれど、別の社員には特段に注意もしない。これでは、社員に不信感が生まれ、会社全体がまとまりません。
そのためにも、経営者は方針(この会社はなんのためにあるのか、どのような心構えで仕事に取り組んでいくのかということ、そして最終目標、加えて具体的目標)を明確にする必要があります。その方針を、すべての経営を進めるときの「物差し」「座標軸」にして、自身の言動を貫いていくべきでしょう。方針に沿って、確固不動の対応をするとき、社員は納得し、全力を尽くし、会社を発展させていくということになります。とにかく、経営者が、その場その場の不安定な感情的言動をとることほど、会社の衰退を早めるものはないと思います。
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