制服の次に来た「体操着ディズニー」の真相

高校生の奇抜ファッションに込められた意味

2年間はパニエで挑んだが、目立っていることを実感できなかったという(写真:研究員提供)

パニエは2年ほど前に流行した薄い生地が何枚も重ねられたふわふわとしたスカートだ。パニエは390円という低コストでおそろいにできる手頃さ、ふわふわに広がるかわいさ、キャストやキャラクターに気が付いてもらえる派手さという理由で選んだそうだ。

しかしその時にはすでにパニエの流行は冷め始めていた。派手さを求めたにもかかわらず、あまり目立っていることを実感できなかった3人。そのときに、かわいさが求められる格好ではなくもっと目立つ格好がしたい、シンデレラ城の前で写真を撮っている人たちを牽引し、「一緒に写真を撮ってください」と声をかけられたいと話が上がり、体操着を着ることを決めたという。

部員全員に声をかけたところ、恥ずかしさや日程が合わないなど理由はさまざまだったが、発案者である3人しか集まらなかったのだという。いまや高校生や大学生が制服でディズニーに行くことが当たり前になっている。中には制服ディズニーを楽しむ社会人もいるようだ。

「恰好から入る」という新しいディズニーの楽しみ方。SNSの普及により、それまでアトラクションに乗ることがメインだったディズニーが写真を撮って楽しむためのディズニーに変貌していく中、その中でもっと目立ちたい、もっといい写真が撮りたいと気持ちが高まっていった結果だろう。

「制服ディズニー」が高校生の特権でなくなった結果…

名札まで凝っている(写真:研究員提供)

そもそもBさんにとって体操着は「すごくダサくて嫌い」なものだった。しかしそのダサさとシュールさがディズニーという夢の国ならば体操着が“特別なもの”に変わる。いつもと違う自分を演出することもできるとBさんは言う。「制服ディズニー」がもはや高校生の特権でなくなってきた結果、体操着に目をつけたのかもしれない。

体操着ディズニーの様子をInstagramに投稿したBさん。その狙いを聞いてみると、「誘ったけど断られたディベート部の人たちに写真を見たいと言われたから。体操着の緑色と、苺の赤の色味がすごくインスタ映えすると思ったから」とBさんは答えてくれた。

二つの事例からInstagram世代の若者たちにとっては、遊んでいる時の楽しさも大事だが、遊び終わった後にSNSでどれだけ目を引く写真が投稿できるか、どれだけ多くの人から「いいね」をもらえるのかということが重要であることがわかる。「制服ディズニー」では制服を着た自分たちのかわいさや若さをアピールするようなものと見透かされつつある。そうした中、今回取り上げた「体操着ディズニー」はあからさまなアピールにも見えず、見ている側はディズニーほど嫌味を感じない。可愛さよりもネタっぽさ、面白さを追求しているからだ。

また先ほども少し触れたが、大人がコスプレで「制服ディズニー」をするケースも少なくない。夢の国の中で「制服=高校生」というイメージが薄れ、制服を着ていることは女子高生たちが口々に発する「JKブランド」のアピールに何も役立たない。そんな学生たちにとって制服に代わる新たなアピール方法が体操着だったのではないか。

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