名門校「武蔵」が守り切る「変わらない勇気」 塾歴社会「最後の楽園」の驚くべき実態

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私立武蔵高等学校中学校は東京都練馬区にある

いまどきの進学塾とスポーツジムの共通点

受験勉強とはもともと、個々の受験生が自ら作戦を立て、自らを奮い起こして取り組むべきものであった。特に大学受験は、入試当日に至るまでのプロセスの踏み方を含めて、総合的人間力を試すものだった。

だが、ルールは変わった。

作戦立案は、塾のカリキュラムによって不要になった。自らに打ち勝つ意志力の代わりに、度重なる塾のテストが受験生を勉強へとかき立ててくれるようになった。より効率のよい戦い方が模索されるうちに、本来受験生自身に求められていた能力の大部分を塾が肩代わりするようになったのである。

"結果にコミットする"スポーツジムに似ている。トレーナーが完璧なメニューを用意して、それをやり切るまで追い込んでくれるシステム。トレーナーの指示にいちいち自分の考えなど差し込まなくていい。ただ従順に言われたとおりにやっていれば、筋肉がついたり、減量できたりする。

その結果、受験生に求められるものとして、大量の課題をこなす処理能力と忍耐力だけが残った。余計なものとしては、与えられたものに対して疑いを抱かない力が求められるようになった。

受験システムそのものが、塾に完全に分析され攻略されている。その状況を私は「塾歴社会」と称し、2016年「ルポ塾歴社会」(幻冬舎新書)を著した。塾歴社会の波は、学校教育をものみ込んでいった。塾さながらの受験対策を行う学校が大学進学実績を上げるようになっていった。

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