「メーカーにとっては、棚取りの交渉にスマポを使えるようになる。店舗にとっても、来店客が増えればメリットがある。現在、スマポを導入している企業は流通企業なので、スポットライト社にとっても、メーカーという新しいクライアントが加わる利点もある。メーカー、店舗、サービス事業者3者にとって非常にいい解決策となる」と魚住氏は話す。
O2Oでマス広告の価値を高める
電通がスマポと組む狙いは、マス広告の効果測定に生かすだけではない。最大の狙いは、本来の領域であるマス広告の価値を向上させることだ。
電通のプラットフォーム・ビジネス局開発部でコミュニケーション・プランナーを務める佐藤巡氏は、電通本来の役割を次のように強調する。
「マス広告の本来の役割は、ブランドの認知と世界観の醸成、興味関心を高めてストーリーを広げること。ここは、効果測定とは別の軸で考えるべき。スマポとの提携でも、『このテレビCMを見た人は、こんなストーリーで来店するはずなので、店頭でこの棚に誘導しよう』など。ストーリーを重要視して取り組んできたい」。
テレビCMでブランドの世界観に触れてから来店してもらうように、スマポを使って消費者を誘導する。これができるようになると、CMの価値自体が高まる、と電通は期待している。
たとえば、次のような導線が考えられる。テレビCMを見てもらった段階ではあくまで“仮ポイント”を付与するのみ。その後、来店時、CMを見てきた人だけの特典として、いつものスマポの来店ポイントを倍量与えるような仕組みだ。
「テレビCMを見てから店頭に行くと、通常よりも倍のポイントがもらえる。そうなると、消費者は自ら積極的にテレビCMを求めて見るようになる。なかなか作れない新しい体験だ。ブランドの世界観がきちんと醸成されたうえで、店頭に行ってもらうよう消費者を誘導できるようになる。クライアント企業のマーケターにとって、新しい武器となるのではないか。テレビCMの価値がより高まる」と魚住氏は話す。
新しい消費体験をどう消費者に伝えるか
新しいサービスなだけに、どのように一般消費者に告知していくか、という課題がある。テレビCM上で、スマポアプリの紹介まで載せるとなれば、一般的に避ける「ダブルスポンサー」(広告を複数の広告主でシェアすること)という問題が生じてしまう。
「テレビ上で告知ができる仕組みを作ることは今後の課題だ。テレビの新しい使い方を開発していく。高い視点から考え、広告業界にとって真に有益かどうか検証をする必要がある。まずは、クライアント企業のウェブサイトやスマポ上で告知をしていく」(魚住氏)。
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