若い人には「家庭と仕事の両立」と聞くと、「育児」と「仕事」の両立、というイメージが強いだろう。しかし、近い将来、「介護」と「仕事」の両立のほうが一般的になるかもしれない。
少子高齢化が進む日本では、年々、要介護状態の高齢者が増加している。厚生労働省「平成27年度介護保険事業状況報告」によると、要介護(要支援)認定者数は、2000年度の256万人から2015年度には620万人と、2.4倍に膨らんでいる。
「介護休暇」と「介護休業」の違いは?
こうした状況下、働きながら介護が担えるように、対象家族1人年5日まで取得できる「介護休暇」と、同1人につき通算93日まで取得(3回まで分割取得可能)できる「介護休業」という制度が定められている。
前者は当日、口頭の届け出だけで休暇が可能で、急な対応が必要なときに便利だ。後者は書面での申請が必要だが、じっくりと介護に専念できる。両者を組み合わせることで、ある程度の介護には対応できる。しかし実際、特に長期にわたる「介護休業」を取得している人は多くない。
厚労省「平成27年度雇用均等基本調査」によると、2015年度で「介護休業者あり(1人以上)」の事業所は全体の1.3%で、常用労働者に占める介護休業者割合は0.06%と、取得はほとんどないといってよいレベルだ。
さて、東洋経済CSR調査でも、各企業の年間の介護休業取得者数を聞いている。CSR情報を積極的に開示している、『CSR企業白書』掲載企業の状況はどうなのか。今回は介護休業取得者数のランキングを見ていこう。
なお、このランキングは『CSR企業白書』に介護休業取得者数の上位200社を掲載しているが、今回はそのうち104社を掲載する。
対象となる介護休業取得者数の開示企業は843社。このうち1人以上の取得は327社で全体の38.8%だった。情報開示した会社に限っているが、世間一般に比べると、介護休業取得者の存在率は高いといえる。
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