あなたの会社で新規事業の芽が摘まれる理由

根回しができていないからはしごを外される

最初は順調に見えても、いつしかはしごを外されることも少なくありません(写真:Elnur / PIXTA)
筆者が実際に経験してきたさまざまな会社のエピソードを紹介しながら、新規事業にまつわる企業人としての処世術をお伝えする本連載。第3回は、せっかくリスクを取って社内で果敢に新規事業へ取り組んだのに、はしごを外されてしまったケースから、新規事業の難しさを解説します。

 

東京に本社を置き、100年以上の歴史を持つ大手上場メーカーのA社。BtoBで安定した業績を上げており、直近の売上高は微増ながら利益は過去最高水準にあります。ただ、近年は取引先の業況が芳しくなく、低価格の海外製品の流入が増えてきていて、先々の業績見通しは決して明るくありません。

「まだ余裕のある今のうちに」と、社内に新規事業を検討するプロジェクトが創設されました。プロジェクトリーダーには、過去に主力事業で実績のある田中浩治課長(仮名、40代)が専任で任命されました。A社では、新規事業の検討に専任者が配属されるのは珍しいことです。月1回、役員会とは別に重役も参加するプロジェクト会議が設定され、その様子から社内でも「今回の取り組みは会社も本気なようだ」と注目が集まりました。

この会社では、過去に新規事業で成功し、その後に出世コースを進んだ人が少ないことは、社歴のある従業員なら誰もが知っていることでした。一方で、「あのまま元の部署にいれば順調に部長にもなれたろうに、ここで新規事業に外へ出されて大変だ」というような見方をする人もいました。

紆余曲折の末に、どうにか事業を立ち上げ

この連載の一覧はこちら

着任した田中課長は既存事業では実績があったとはいえ、新規事業に取り組むのは初めてでした。当初は何からどう手をつけてよいかわからず、いろいろと注文をつける役員もいましたが、過去の実績で培ってきた社内人脈も活かして起案を通し、事業化の社内承認を取り付けました。

全社的にもひとまずは「よくやった!」とお祝いムード。プロジェクトリーダーの田中課長も「組織発足から1年半、やっとひとつ形にして世に出せた」と胸をなで下ろしました。

次ページ事業化後に社内の評価が一変
ビジネスの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 自衛隊員も学ぶ!メンタルチューニング
  • あの日のジョブズは
  • 親という「業」
  • ポストコロナのメガ地経学ーパワー・バランス/世界秩序/文明
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
菅新政権大研究<br>行方を占う5つのポイント

歴代最長の7年8カ月に及んだ安倍政権から何が変わるのか。「自助」好き、「経産省内閣」の継承の有無、解散総選挙など5つの観点で読み解きます。エコノミスト17人へ緊急アンケートを実施、経済見通しと課題も浮き彫りに。

東洋経済education×ICT