昨今「忖度(そんたく)」という言葉を頻繁にニュースで見掛けます。辞書で引けば「他人の気持ちを推し量ること」。権力者が直接言わなくても、周囲が半ば勝手に意向を感じ取って動くようなことです。「これは何も政治の世界だけの話じゃない、ビジネスの世界でも同じだよ」と思われている人も少なくないでしょう。
若い人の中には「だから組織というものは面倒くさい」と感じる方もあれば、ベテランには「組織とはそういうもの。忖度できずして、組織の中でうまく仕事ができることなんてない」と映っているかもしれません。
確かに、同じ組織の中で働いていれば、言葉にせずとも相手の状況を見て、気持ちを察して、言葉を交わさずとも気を利かせることで、全体効率が上がりスムーズに運営されることが大いにあります。むしろ忖度がある程度ないと、組織運営はギクシャクしてしまって成り立たないともいえます。
創業家社長の孤独な悩み
東京に本社を置く消費財メーカーのB社。上場企業ですが、創業家の色合いが濃く、今の社長は創業者のお孫さんで3代目に当たります。創業者のアイデアマンの血は代々受け継がれているようで、現社長の就任以来、社長自らのアイデアで次々とヒット商品を生み出し、事業を拡大してきました。
ですが近年は大きなヒット商品がなく、先々の市場の縮小も想定される中、「次代の柱になるような新規事業を立ち上げよう!」の号令が社長から発せられ、検討する専門組織も作られました。
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