新規事業がイケてない会社にありがちな忖度

社長の意図を酌み取ろうとしても難しい

新規事業とはそもそも正解がなく、どうすれば必ず成功するという答えがないものです。それでも、何か方針を決めて前に向かって検討を進めていかないと、何も具現化しませんし、具現化し市場に出してみなければ成功するかどうかわかりません。

新規事業の検討の初期段階で最も大事なことは、会社としての方針や方向性を明確にしていくことです。そのためには、忖度ばかりしていては議論がちっとも前に進みません。相手がたとえ経営者であろうとも、経営者に答えを求めるとうまくいきません。その会社に経験がないことをするのが新規事業です。その意味では経営者も起案者も、ことその領域のことについてはイーブンなんだ、というくらいの気構えが望ましいでしょう。

フェアウェーとOBゾーンと制約条件

ゴルフでティーグラウンドに立ったとき、ピンが見えなければどこへ向かって打ったらいいのかわかりません。

それでも、たとえピンは見えなくても、フェアウェーとOBゾーンがわかっていれば、まずは1打目はこっちのほうへと当たりがつくはずです。新規事業の検討初期には、まずフェアウェーとOBゾーンを確認するところから始めましょう。言葉を交わし議論を重ね、言語化していくことが重要です。

筆者が企業の経営者と話して方針を確認する際には、「試し打ち」としていくつかの事業案を投げかけてみて反応を見ます。

「たとえば〇〇なんて事業はどうなんでしょう」とか「世間では××系の事業が伸びていますが?」というように、具体的な例を挙げてその評価を聞き、「それはなぜか?」「どういう点で?」と質問を重ねていくと、「どんな事業に魅力を感じるか」「違うと感じる事業はどういうものか」少しずつ絞られてきます。

もしかすると対話の過程で、経営者の意図を酌み取りきれず、「お前はわかってない!」と怒られるようなことがあるかもしれません。

でもそれは、経営者自身がうまく自分の中で言語化できておらず、時につじつまの合わないこともあったりして、自分自身にいらだっている証拠かもしれません。そこを「経営者だって答えのない中で苦労しているんだ」と寛容に受け止めて、対話のよきパートナーになれたとき、起案者は新規事業担当者として一皮も二皮もむけた存在になっており、経営者からはますます信頼される存在になっているはずです。

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