「社内起業提案制度」を導入したものの…
東京に本社を置く部品メーカーのA社。コアになる製品の業界シェアは圧倒的に高く、売り上げは数千億円の大手です。堅実な経営で社外からの評価も高い、そんなA社が創業50年を機に数年前に新たな「社内起業提案制度」を導入しました。
ここ数年の業績は安定しており利益も出ているのですが、長期的に見ると市場が縮小していくのは確実で、「今から何か手を打っておかないと……」は取締役会議でいつも出る話題の1つでした。
といって具体的な新規事業案が役員から出ることもなく、専門組織を発足させ検討を進めることもなく、ただ年月を重ねていました。
そんな中「社員からアイデアを募るのはどうか」という案が出され、「若い人の自由な発想力に期待しよう」と、制度の導入が決まりました。
新制度は創業記念式典の中で社長から発表され、華々しくスタートしました。
現場の管理職に対しても「積極的な起案を促すように」とのお達しが経営企画部から届いたこともあり、想定を超え100件もの起案が集まりました。
……ただ、あれから3年。今では年に数件の起案しか集まりません。
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