あなたの会社で新規事業が実を結ばない理由 社内で案を出した挑戦者を萎えさせるな

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社内の起案制度に乗っかって新規事業を起案してみることには、自身のビジネスマンとしての学びになること以外に大きく2つのメリットがあります。

結果的に今の仕事に活きることも

1つは、副業・兼業的な価値。副業や兼業を認めようか、という企業がチラホラ出てきています。副業や兼業をする社員が出てきた場合の企業から見たメリットの1つは、「目の前の仕事以外に別の仕事をしているビジネスマンは、複眼的に仕事を見ることができるようになり、結果的に今の仕事にも活きることがあるかもしれない」ということです。

ただ、労務管理や守秘義務のことを考えると、なかなか会社の外で別の仕事に就かせることには課題も多く、実現している会社は少ないです。安全性を担保しつつ、通常業務と並行して新規事業の検討をすることで同じ効果が得られると個人的には思っています。

もう1つ、こういった起案を社内異動のキッカケとする、ということがあります。すぐに事業化が承認されなくても、「あいつは〇〇のテーマに関心を持っている」「〇〇のことに詳しい」という「タグ」が人事データとして付くことで、社内でいつかそのような動きがあったときに抜擢に繋がることがあります。

新規事業はその会社にとって経験のない領域の模索なので、誰もがその領域の「社内第一人者」になれるのです。転職は、ビジネスマンにとって大きく可能性を広げると同時にリスクもあります。社内異動で新たな仕事に就くことは、企業人としてのある種の醍醐味でもあります。新規事業の提案制度への応募は、自身の可能性を広げます。制度のない会社の方は、新たに制度をつくることを検討するのも一手でしょう。

石川 明 インキュベータ代表取締役

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いしかわ あきら / Akira Ishikawa

1988年上智大学文学部社会学科卒、1993年早稲田大学ビジネススクール修了。これまで、100社、1,700案件、3,500名以上の企業人による新規事業開発をインキュベータとして支援。リクルート社で7年間、新規事業開発室のマネージャとして、リクルート社の企業風土の象徴である、社内起業提案制度「New-RING」の事務局長を務める。2000年にリクルート社社員として、総合情報サイト「All About」社を創業し、JASDAQに上場。10年間、各種事業責任者を務める。

2010年に独立。ボトムアップによる新規事業開発の支援に特化して業務を請け負う事務所を開設。大手企業を中心に、新規事業の創出、新規事業を生み出すための社内制度の設計、起業型人材の育成に携わる。著書に「新規事業ワークブック」(2017)、「はじめての社内起業」(2015)がある。

早稲田ビジネススクール研究センター特別研究員 /SBI大学院大学MBAコース客員准教授。お問い合わせはFacebookページ「株式会社インキュベータ(旧:石川明事務所)まで。

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