あなたの会社で新規事業が実を結ばない理由

社内で案を出した挑戦者を萎えさせるな

そう聞くと「目的は新規事業の創出に決まっているだろう」と思われるかもしれませんが、実は多くの場合、3つの目的が混在しています。

(1) 実際にこの制度から起案された案を事業化すること

(2) 新規事業を考えられる人材を育てる機会とすること

(3) 普段から新規事業を考える風土を醸成すること

この3つ、どれも大事な効果ですが、実はこの3つの目的を混在させてしまい制度設計をしてしまうと、制度がとても中途半端なものになってしまい、結果としてどの成果も得ることができず、誰にとっても満足度の低い施策となってしまうのです。

社員のモチベーションは有限の経営資源

3つのうち何を目的にするかによって具体的な運用の仕方が大きく異なります。

募集方法、エントリーフォーム、審査基準、評価者、フィードバック方法、いずれも目的に応じて最適な方法を考えなければいけません。一度に3つの目的を追っては、最適の運用はできません。

目的をいずれか1つ、「(2)人材育成」や「(3)風土醸成」にフォーカスするなら、それぞれ運用方法の工夫は必要なものの、一般的な研修やイベントにはない実践的な成果が期待できます。

ですが、「(1)新規事業の創出」を目的に置いた場合には、なかなか成果を出すことができていない企業が多いのが実情です。

数多くの企業のケースを見てきましたが、成果(事業化)をあげられない原因の多くは、起案者の資質や努力ではなく、起案を受け止める事務局そして投資判断を行う経営陣にあります。

多くの起案が集まりつつも結果として成果(事業化)に繋がらない場合、起案を受けた事務局や経営陣は起案内容に「期待はずれ」を感じていますが、同時に起案者も「結局何も事業化されない」と、会社に対して「期待はずれ」を感じているのです。

こういうことが続くと、最初は多くの社員が「起案してみよう」と思っても、段々とモチベーションが下がってしまい、「もう、いいや」となってしまいます。

社員のモチベーションは有限の経営資源です。せっかくの社員の「新しいことにチャレンジしたい」というモチベーションをうまく活かさずしてボトムアップによる新規事業の創出は期待できません。

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