日本企業が「さほど儲けられない」真の理由 利益率の低さが経済成長を阻害する
純利益1兆円突破を36年で成し遂げた
ソフトバンクグループが、2017年3月期の連結決算(国際会計基準)で、初の純利益1兆円台を達成した。前期比3倍の1兆4263億円の達成は、同社にとっては史上初。日本企業全体を見ても、純利益1兆円を突破した企業はトヨタ自動車しかいない。
リスクの大きなM&A(企業売買)を繰り返し、身の丈をはるかに上回る借金を抱える積極的なM&A戦略で拡大成長してきたこともあり、ソフトバンクの評価はいつの時代にも辛辣なものが多かった。
それでも、トヨタが設立後67年かけて達成した純利益1兆円突破を、ソフトバンクは36年の歴史で成し遂げた。いまや、日本を代表する企業であり、日本経済を牽引していく基幹企業のひとつと言っていいだろう。
そもそも、最近の日本企業の低迷ぶりには目を覆うものがある。シャープ、東芝と日本を代表する企業の経営が行き詰まり、最近になってトヨタ自動車も来年3月期の営業利益が前期比19%減となり、2年連続で減収減益になると発表した。米国事業の採算悪化が原因と説明しているが、相変わらず「為替相場」頼りの業績に一喜一憂しているのが現状だ。
政府は、アベノミクスの成果として52カ月連続の「景気回復」局面にあると胸を張るが、庶民の暮らしでその実感を持っている人は限られそうだ。確かに、アベノミクスが始まって以降、企業は円安や震災復興による公共事業の増加や前倒しの追い風もあって、企業収益を増やした。特に、内部留保は80兆円増の378兆円にも達している。
新たな設備投資や人件費などの雇用には資金を回さず、企業は利益を貯めてばかりいる、という指摘も当然のことだ。こんなに儲けているのに、なぜ賃金は上がらず、正規社員はどんどんクビを切られるのか。その原因のひとつは日本企業の「利益率の低さ」にある、とされる。どんなに利益を出していても内部留保に回すしか方法がないとさえ指摘される。
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