日本企業が「さほど儲けられない」真の理由

利益率の低さが経済成長を阻害する

米国のように、たとえ大統領が出した命令でも、きちんと「NO」を突き付けられる独立した司法システムは日本にはない。裁判官は、時の政権に対して簡単に忖度(そんたく)してはいけないのだが、こうした裁判制度のあいまいな姿勢もビジネスに悪影響を与えている。

具体的なケースで言えば、日本の金融機関が販売する海外の金融商品は、どれも本国などで達成している高いパフォーマンスを、日本では実現できないケースが多い。米国で高い運用益を上げている投資信託を販売する場合、香港やシンガポールではそのまま販売して高い運用益を達成している。高利回りの債券も、現地の言語のまま販売することができる。

しかし、日本では金融庁などへの届け出や、顧客に販売するのにいちいち日本語に翻訳した書類を用意して販売しなければならない。その結果、投資家が得られるパフォーマンスは期待どおりにはいかず、金融機関も効率の高いビジネスができていない。

利益率の低い日本にあって利益率の高い海外にないもの

2.既存の正社員に対する利益配分が高すぎる

利益率の低い日本にあって、利益率の高い海外にないものといえば、日本独特の雇用制度だ。たとえば、新卒一括採用といったシステムは日本独特のものだ。新卒一括採用は明治時代からあり、関東大震災時の極端な就職難や戦後の高度経済成長時代の極端な求人難に定着して、現在のような官民による統一した方法が出来上がった。

すでに半世紀も経過している現在、いまだに新卒一括採用といった時代遅れのシステムを続けていること自体が異常だし、それをやめられない企業経営者の保守的な姿勢も問題だ。入社後の年功序列や終身雇用制度も、時代遅れと言わざるをえない。

景気拡大期に大量採用してしまった新卒の処遇に困って、人材の有効活用を目的に、採算もろくに考えないで新規事業に莫大な資金を投資して失敗。日本企業の多くが、このパターンで利益率を下げていると言って良い。

伊藤レポート以降、日本企業の多くはROEアップを狙って、自社株を購入する資本政策を展開し、正社員を解雇して非正規社員を増やすなど経営の効率化を図っている。そのおかげで人件費は一時的に減少できたかもしれないが、人口減少や高齢化が顕著になりつつある現在、その選択肢が正しかったかどうかは疑問だ。

とはいえ、正規社員と非正規社員の格差がひどい状態なのは誰もが知っている。安倍政権は、今頃になって「同一労働同一賃金」を声高に叫び始めたが、それを言うなら小泉政権時代の派遣法改正と同時にやるべきだった。

一度開いてしまった格差を縮小するのは大変な時間と労力、改革を伴う。こうした一連の人事政策、雇用管理がうまく機能していないために、優れた人材が会社を離れてしまい、高い利益率が維持できていない企業が多いはずだ。

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