日本企業が「さほど儲けられない」真の理由 利益率の低さが経済成長を阻害する

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簡単に言うと、広告宣伝費や人件費が投資した金額に見合った効果を得られていない。製造業が多い日本企業とIT企業が多い米国との違い、ともいえるが、アベノミクス開始以降、広告宣伝費や人件費といった販売管理費が過大になったのは事実だ。

とりわけ、古い体質の企業では大手広告代理店に依存した広告宣伝費の使い方に固執し、加えて新卒一括採用、年功序列、終身雇用という古い体質の人件費支出を続けている。過大なコストが、利益を抑えてしまっているのが現状だ。

収益構造の違いは「戦略」と「自前」の精神?

日本企業の利益率が低い原因は、むろん個々の企業の事情もあるだろう。しかし、利益率の低さは、日本全体にも大きくかかわっている。利益率の低迷が、実は景気回復や成長を大きく阻害している原因になっているということだ。

たとえば、利益率の低迷は経営を保守的にし、積極的な経営戦略に出ないという傾向を生む。リスクを取って大きな失敗をするよりも、経営者は自分の任期を務めあげることを優先する。莫大な役員報酬を棒に振るようなリスクを負うよりも、確保できている少ない利益を、こつこつと内部留保として積み上げるほうが高い評価を得られる。

ソフトバンクグループが、現在のポジションにいるのも、孫正義社長のあくなきチャレンジ精神があったからだ。しかし、現在の日本企業には貪欲に利益拡大を狙う剛腕社長がいるのだろうか。

収益力の違いを理解するケースとしてよく紹介されるのが、米国アップル社の経営戦略と他の企業との違いだ。5月17日付の朝鮮日報の報道によれば、アップルのスマホ営業利益はサムスンの5倍超に達するそうだ。

2016年の1年間に、全世界のスマートフォン市場が稼ぎ出した営業利益のうちの8割、449億9700万ドル(約5兆843億円)をアップル1社が稼ぎ出し、2位のサムスンは14.6%の83億1200万ドル(9392億円)にとどまる。まさに5倍超の利益を上げている。

日本企業など、足元にも及ばない水準だ。その背景にあるのが、アップル社の高い利益率だ。技術力はあるのに儲からない――日本企業の共通の悩みがここにあるわけだが、サムスン同様に日本企業も販売台数は多いものの利益につながっていない。

実際、サムスンはアップルよりも年間9000万台以上多くのスマホを販売している。にもかかわらず、儲けは5分の1以下しかない。

結論から言えば、アップルの強さはすべて自前のシステムを構築してビジネスをしているからだ。日本企業も自前の工場を持って、自前の雇用者を使って製品を作っているものの、販売は家電量販店に任せ、直販店のサービス対応は現在でもおざなりだ。OS(基本ソフト)も、グーグルの「アンドロイド」やマイクロソフトの「ウィンドウズ」といった他社製品を使わざるをえない。

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