フリン「爆弾証言」あれば、トランプは終わる

「トランプvsミュラー」勝敗の分かれ目とは?

2番目のロビーイングと政治への影響力行使という論点では、ロシアゲートをめぐるトランプ大統領の関与があったのか、なかったのか。ミュラー特別検察官にとって、選挙期間中からトランプ陣営によるロビーイングと政治への影響力行使については、追及すべき捜査がまだ山のように残っている。

トランプ陣営のロビー活動にトランプ氏自身の関与があったのか否か、それを追及することが、事案を有利に持ち込むためには大きなプラスになる。

フリン氏の証言をとれるか

すでに辞任に追い込まれたマイケル・フリン前大統領補佐官(国家安全保障担当)への事情聴取を含め、さらに慎重に捜査することによって、もしトランプ氏がロシアスキャンダルに絡んでいることを解明すれば、それは一気に弾劾につながる。3番目の「広報戦略」よりはるかに有効な論点としての選択だ。

ミュラー特別検察官にとって、フリン氏の証言がとれるかどうかがカギになる。フリン証言が爆弾証言となれば、その威力はコミー証言以上の迫力になる。

フリン氏の弁護士は、フリン氏は全面的免責の場合に限り、議会にも特別検察官に対しても、宣誓証言に応じるという司法取引を明らかにしている。そこに焦点を当てて、ミュラー特別検察官が乗り出せば、事態は動くかもしれない。しかし、フリン氏の証言が爆弾証言になるかどうかはまだわからない。

いまにして思えば、ミュラー氏解任説が出たとき、すぐに「広報戦略」に打って出なければ、トランプ大統領によって解任されることによって、大統領弾劾の流れをつくることができたかもしれない。そのチャンスは永久に失われた。

ミュラー氏にとって、「広報しないことが、最大の広報だった」のである。それは、まさに武田信玄の「風林火山」の一節「動かざること山のごとし」という日本のサムライの泰然自若さが、ミュラー氏には欠如していたからにほかならない。

それはミュラー氏だけに限らない。トランプ氏にも、あるいは多くのアメリカ人に当てはまる。「法の支配する国」アメリカでは、「動態的な法という戦いのチャンピオン」としての自負が強い。相対立する事案を有利にする3つの論点には、日本のサムライのように「黙って待つ」という心構えが抜けている。

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