ドナルド・トランプ米大統領が「司法妨害」の捜査対象になったと、ワシントンポスト紙(6月14日付)が報じ、大統領はツイッターで「魔女狩りだ」と強く反発した。事実上、司法妨害の捜査対象になっていることを認めた。
大統領の個人弁護士の1人はテレビ出演し、ワシントンポスト紙の報道内容を否定している。しかし、米メディアの見方は、いわゆる「ロシアゲート」をめぐる一連の捜査が、大きな転換点を迎えつつあるという印象を持っていると見ていい。
ワシントンポスト紙が報じるように、大統領が司法妨害の捜査対象になっているのが事実だとすれば、トランプ陣営とロシア政府との癒着疑惑をめぐる一連の捜査は、180度の大転換という状況に向かうことになるだろう。
大統領弾劾の可能性はまだ低いとはいえ、高まる方向に転じたと見ることもできる。本稿では、トランプ大統領やホワイトハウスのブレーンたちが知らなかったと思われる、法律戦略まで論じてみたい。
トランプ大統領とミュラー特別検察官の異様な対決
さて、ロバート・ミュラー特別検察官だが、トランプ大統領を司法妨害の捜査対象にしたことについて、本人は何も語っていない。しかし、トランプ陣営とロシア政府との関係を捜査してきたジェームズ・コミー前連邦捜査局(FBI)長官が、突然、解任されたことが、今回の決定と絡んでいることは明らかだ。
それには、6月8日に行われた上院情報委員会の公聴会におけるコミー氏の証言も大いに影響している。コミー氏は用意周到に準備し、トランプ大統領が何度も嘘をついたと証言した。その後、司法長官、FBI幹部の議会証言が相次ぎ、司法妨害疑惑の関心は一段と高まった。
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