ゴミ屋敷に商機を見出した男の波乱万丈人生 夜逃げ、起業、倒産…人はそれでも立ち上がる

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ただ、仕事をゴミ屋敷清掃に絞ってもそう簡単には依頼は増えていかなかった。引っ越しと一緒でリピーターはあまりいない。恥になるため、口コミも期待できない。

天井まで積み上げられたゴミ

ホームページの宣伝で地道に開拓していくしかない。それでも仕事をするうち、雑誌やテレビで取り上げられることが増え、知名度が上がっていった。そしてそれを見た人からの、仕事の依頼が徐々に増えていった。軌道に乗ったと自覚したのは起業して2年、2011年頃だったという。

経営者はおカネのことを第一に考えるべきだ

仕事を拡大していく過程で、佐々木社長が絶対に譲らない要点があった。

「先程の話とも重なるけど、経営者は『徹底して利益を出すということに徹せなければならない』と思っている。儲けることは悪いこと、という風潮があるし、世の中金じゃないなんて言う人もいる。でもやっぱり、経営者はおカネのことを第一に考えなければならないと思う」

まごのての清掃の値段は、よその会社に比べてかなり高く設定されている。

清掃の様子

清掃会社は10社あれば、8~9社は、「どこよりも安い」「弊社より高い業者があれば言ってください」など安さをうたう。だが、ちゃんと利益を出そうと思ったら、他社と値段で競合すべきではない……というのが佐々木社長の考えだ。

結局、値段が安い業者は、利益を出すために、従業員におカネを払わなかったり、ゴミを不法投棄したりして節約する場合が多いという。多くの業者は、結局はやっていけなくなり潰れてしまうという。

「しっかり利益を出すというのは、5年後、10年後、会社を存続させるために必要不可欠なことだと思う。うちはどこよりも高いかもしれないけれど、高いのには高い理由がある。説明もできる。しっかり利益を上げるから、給料に還元できるし、設備投資をすることもできる」

他社との相見積もりの結果、他社30万円、まごのて60万円、と倍の値段がつくこともあるという。ただ、数万円の差なら安い業者に流れるかもしれないが、大きく離れていると「なぜこんなに違うのだろう?」と思うのが人間の心理らしく、サービスの内容を調べた結果、まごのてに仕事がくることも多いという。

次ページまだまだ、道の途中だ
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