セルジオ越後「15歳久保はまだ何者でもない」 無理やり「スター」を作る日本の報道は異常だ

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FC東京の久保建英選手は、5月3日にYBCルヴァンカップの北海道コンサドーレ札幌戦に後半途中から出場。15歳でFC東京のトップチームデビューを果たした(写真:築田 純/アフロスポーツ)
5月20日に開幕するサッカーU-20(20歳以下)ワールドカップの韓国大会に出場する日本代表。そこに15歳ながら、飛び級で選出されたのが、FC東京に所属する高校1年生の久保建英(たけふさ)だ。それまではFC東京の18歳以下チームの試合に出ていたが、5月3日の「ルヴァン杯」で、ついにトップチームの試合にデビュー。スペインリーグの強豪、FCバルセロナの下部組織出身ということも話題を呼び、サッカーファンやメディアの注目を一身に集めている。この現象をどうみているのか。セルジオ越後氏に聞いた。

 

――15歳の高校1年生にして先日、FC東京のトップチームデビューを果たした久保建英選手に関する報道が過熱しています。セルジオさんはどう感じていますか?

最近、スポーツ新聞を開くと、毎日のように久保君の名前を目にしますね。でも、まだプロ選手としての実績があるわけではなく、将来有望な選手のひとりにすぎないわけですから、明らかに騒ぎすぎでしょう。ポテンシャルの高さは一目瞭然ですが、まだ何者でもありません。しばらくの間、見守ってあげるべきだと思います。

「久保フィーバー」に覚えた強い違和感

――久保選手の経歴を簡単に振り返ると、小学4年だった2011年にFCバルセロナ(バルサ)の下部組織の入団テストに受かり、川崎フロンターレの下部組織から移籍。順調にステップアップしていましたが、バルサが18歳未満の外国人選手獲得・登録違反を犯し、久保選手も公式戦に出場できなくなったために2015年に帰国。FC東京の下部組織に加入しました。

昨年は中学3年ながら飛び級でFC東京U−18に昇格。さらにトップチームに2種登録され、FC東京U−23の一員としてJ3デビュー。今年4月15日のJ3、セレッソ大阪U−23戦でゴールを決めると、5月3日のルヴァンカップ、北海道コンサドーレ札幌戦でトップチームデビューも果たしました。

久保君が4月にJ3でゴールを決めたときの報道を見て、僕はすごく違和感を覚えました。かつて森本貴幸(当時・東京ヴェルディ/現・川崎フロンターレ)の樹立したJリーグ最年少ゴール記録を塗り替えたことが、強調されていたからです。確かに久保君は15歳10カ月11日、一方、森本は当時15歳11カ月28日。でも、森本のゴールはJ1でマークしたもので、価値や重みがまるで異なります。事実を伝えるなら、久保君のゴールはJ3であること、森本はJ1でのゴールだったことまでしっかり触れるべきでしょう。

同じようなことは、トップチームでデビューしたときにも感じました。どこもかしこも「J1公式戦デビュー」と報じていました。これを見聞きすれば、サッカーに詳しくない人なら誰もがJ1のリーグ戦でデビューしたと思いますよね。でも、実際にはJ1のリーグ戦ではなく、J1リーグのチームが参加するルヴァンカップでのデビューです。

このとき、僕が思ったのは「ああ、また始まったな」ということでした。「すごい、すごいと騒いでのスター作り、アイドル作りが始まったな」と。

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