セルジオ越後「若手育成を根本から改めよ」 サッカー界に影を落とす「補欠制度」の弊害
――9月にワールドカップ・アジア最終予選のUAE戦とタイ戦が終わった後、リオ五輪日本代表監督だった手倉森誠氏が日本代表のコーチングスタッフに加わりました。この人事はどう思いましたか。
前回、触れたように、UAE戦、タイ戦でハリルホジッチ監督はアジア予選の難しさを理解していないことが明らかになりましたから、日本人コーチのサポートは必要でしょう。でも、手倉森氏はリオ五輪でチームを決勝トーナメントに導けず、いわば「失敗」したわけです。それなのに、フル代表のコーチに「出世」するのは、いかがなものか。
一方で日本代表がこの先の最終予選、たとえば10月12日のオーストラリア戦、11月のサウジアラビア戦で敗れれば、ハリルホジッチ監督の解任もありうる事態です。後任監督をすぐに連れて来られる保証はないので、つなぎの監督として手倉森氏を身近に置いておきたいという、日本サッカー協会の思惑が透けて見えます。
五輪代表は結果を出せず、育成もできていない
――そのリオ五輪代表(U−23日本代表)から9月のUAE戦、タイ戦では浅野拓磨、大島僚太、遠藤航、植田直通の4人が選ばれ、10月のイラク戦、オーストラリア戦では、遠藤が外れて3人になりました。この人数はどうでしょう。
前回の遠藤と植田は、負傷者が出たことによる追加招集でしたから、実質2人。今回は植田が正式に選ばれましたが、はっきり言って少ない。23歳以下の五輪代表は「大事なのは結果か育成か」が議論されます。それでも、グループステージで敗退し、フル代表に2、3人しか送り込めないのは、結果でも育成でも成果が見られず、中途半端と言わざるをえません。
もっとも、その上のロンドン五輪世代を見ても、再びドイツ(アウグスブルク)に移籍した宇佐美貴史はほとんど試合に出られていないし、山口蛍も柿谷曜一朗も海外移籍したものの、すぐに戻ってきてJ2でプレーしている。世代交代をさせようにも、下からの突き上げがないので、ハリルホジッチ監督も頭が痛いところでしょう。
でも、それも当然のことで、日本は今、U−20ワールドカップに4大会連続、8年間も出られていない。前回、「日本代表は危機的状況にある」と言いましたが、それは今の代表チームのことだけを言っているわけではなく、次の世代も育ってきていないということなんです。
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