セルジオ越後「若手育成を根本から改めよ」 サッカー界に影を落とす「補欠制度」の弊害

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個人種目は試合に出られる分、技術を磨きやすいと思います。

実際、夏季オリンピックでの日本の成績を見てみれば、金メダルを獲った種目は、体操、陸上、柔道、水泳、レスリング、ボクシング……と、個人種目ばかり。団体競技で近年、好成績を挙げたのは2008年北京大会のソフトボールと、2012年ロンドン大会の女子サッカーぐらいでしょう。サッカーをはじめとして団体競技のほうが競技人口は多いはずなのに。

日本はスポーツを楽しむ文化が欠けている

――個人種目と同じように、選手一人ひとり全員がプレーすれば、それだけ分母が広がるわけで、それには補欠制度を撤廃しないといけないと。

団体スポーツが世界的に活躍できないのは「補欠制度」にあると訴える。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

本を読んだり、音楽を聴いたりするように、スポーツも楽しんでプレーしていいんです。日本にはこの部分が欠けています。スポーツは体育や部活動、習い事ではなくて遊び。ブラジルでは子どもの頃から路上でボールを毎日蹴るうちに、自然に上手になります。楽しく続けることが、スポーツがうまくなるための第一条件。

現在、日本では20代、30代の若者のスポーツ離れが著しいそうです。仕事が忙しかったり、経済的な余裕がなかったり、ネットやゲームに使う時間が長くなったことが、スポーツをやらなくなった原因と言われます。

でも、僕はスポーツに興味を持って始めたのに、補欠になったり、シゴキを受けたりしてスポーツを楽しめなかったからではないかと思いますよ。楽しければ何歳になったって続けるものです。このことが、日本でスポーツが文化として根付かない要因のひとつではないでしょうか。

飯尾 篤史 スポーツライター

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いいお あつし / Atsushi Iio

東京都出身。明治大学卒業後、サッカー専門誌の編集記者を経て2012年からフリーランスに転身、スポーツライターとして活躍中。『Number』『サッカーダイジェスト』『サッカーマガジン』などの各誌に執筆。著書に『残心 Jリーガー中村憲剛の挑戦と挫折の1700日』(講談社)、構成に岡崎慎司『未到 奇跡の一年』(ベスト新書)などがある。

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