セルジオ越後「日本人は現実が見えていない」 「日本代表は強い」はファンの錯覚でしかない
――前回は、日本にスポーツを楽しむ文化がないことが、上達の妨げにもなっているというお話でした。「スポーツを文化にしたい」という言葉は、選手の側からも聞かれますが、障害はたくさんありそうですね。
日本でスポーツが文化として根付かないのは、報道の仕方にも問題があります。勝ったときは大フィーバーで、負けても「感動をありがとう」と言ってブームを作り出そうとする。これでは一過性のブームで終わってしまい、文化にはなりません。たとえば、2015年のラグビー・ワールドカップは、大会前にはほとんど扱われていなかったのに、南アフリカに勝った途端に報道が過熱しました。
もちろん、世界的にみても歴史的なジャイアントキリング(番狂わせ)ではあったけれど、あのワールドカップから何を学び、何が足りなかったのか、真実を伝えなければ、次につながってはいきません。
日本サッカーが足踏み状態になっている理由
――特にサッカーの場合、それが足りないから、これまでワールドカップで2大会連続して決勝トーナメントに進めず、前進と後退を繰り返しているのかもしれません。
スポーツの強い国というのは、ワールドカップだから、オリンピックだからといってメディアが必要以上にあおったり、スポーツ番組がバラエティ番組のようになったりすることはありません。そして、負けたときこそ報道の時間を増やし、徹底的に検証します。コメンテーターが議論したり、選手や監督が出演して敗戦に向き合います。つまり、スポーツが文化として根付いている国は、やっぱりスポーツが強いんです。
日本ではスポーツ中継やスポーツニュースを見ていて、その競技や選手の魅力が伝わってきません。「イケメン」「美女」ということしかわからないのは、報道のレベルが低いということです。今の日本のスポーツ番組は、スポーツを題材にしたバラエティ番組にすぎません。
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