セルジオ越後「15歳久保はまだ何者でもない」 無理やり「スター」を作る日本の報道は異常だ

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――マスコミが久保選手をスターの座に持ち上げようとしていて、話題性が先行している、と。

そうです。日本サッカー界にはかつてヒデ(中田英寿)、(中村)俊輔、小野(伸二)と、スター選手が次から次へと出てきました。2002年の日韓ワールドカップの頃です。その後、本田(圭佑)や香川(真司)が続きましたが、今は明らかにスターが枯渇しています。

いつもミランのベンチを温めている本田では新聞は売れないし、テレビも視聴率が取れなくなった。その証拠に、今シーズンのサッカー報道を見れば、カズ(三浦知良)、俊輔、大久保(嘉人)とベテランの報道ばかり。これは、旬なスターがいないということを表しています。

久保に関する報道は「事実」がぼかされている

――確かに、今の日本サッカー界は若手のスターの話題に乏しかった感があります。

そんな状況だから、マスコミは次のスターを求めて久保君に飛びついたわけです。しかも、久保君の場合、日本人が大好きな「元バルサ」「東京五輪のエース候補」とか、「飛び級」といった肩書、フレーズがある。

話題先行の「スター」作りに苦言を呈するセルジオ越後氏。日本メディアの報道姿勢が変わっていくことを望んでいる(撮影:今井康一)

久保君を日本サッカー界の救世主のように仕立て上げるには、「J3」や「ルヴァンカップ」ではインパクトが弱いんです。それでは、すごさが伝わらない。だから、マスコミは「J3」や「ルヴァンカップ」の部分をぼかして、国民をだまそうとするんです。

これは、出場機会にめぐまれていない海外組が10分くらいピッチに立っただけで、さも活躍しているように編集して、スターに仕立て上げる報道姿勢と共通するものがあります。

――ブラジルでは、明らかに才能のある10代半ばのタレントが登場した場合、メディアはどのように接し、どのように報じているんですか?

その選手が大活躍すれば、大きなニュースになりますが、まだ活躍していない選手を、話題先行で大騒ぎするようなことはないですね。そもそもブラジルにはすばらしい可能性を秘めた10代の選手なんてたくさんいるし、その後に消えていった選手もたくさんいます。だから、その選手が本当に大成したり、活躍するようになるまで待っています。それに、国民も目が肥えていますから、スターを仕立て上げたところで簡単にはだまされない。「将来、楽しみだね」という感じで見守っていますよ。

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