ゴルフ「クラブ」の新規制でアマはどうする? プロの「飛びすぎ」受けて、用具ルール変更か

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ただ、プロの飛距離は伸びても、アマチュアは、特に高齢者や女性の場合、用具が進化したからといって飛躍的に飛距離が伸びたわけではない。パーシモンの時代や金属が出始めた時代より、今のほうがプロとアマチュアの飛距離の差が大きくなった印象が強い。

そんな「飛びの格差」が出ていることを受けてだろうか、ゴルフフェアの会場を見て回ると、飛びをうたった「ルール不適合」の用具がけっこうあったのには、少し驚いた。高反発のドライバーであったり、超高反発ボールであったり、密着性の高いグローブであったり。堂々と「ルール不適合」の道具が「見本市」に出品されていた。

アマは「ルール不適合」クラブでプレーしてもいいか

ゴルフ界に身を置く人間としては、これは悩ましい問題だ。こうした「ルール不適合用具」は、大小を問わず公式試合では使用できない。ゴルフは「公平にプレーする」のが原則で、R&Aや日本ゴルフ協会が「ルールに適合した用具でプレーしなければならない」とするのは当然のことだ。

ただ先述したように、プロが飛びすぎてしまうために飛距離を抑制する方向にルールが改正されてきていると思える中で、一般のアマチュアでゴルフ場が短く感じるほどに「飛ばせている」と思う人はあまりいないだろう。むしろ、もっと飛ばしたいと思っている人がほとんどのはずだ。そうした心理を突いているのが「ルール不適合用具」でもある。

批判を恐れずに言えば、仲間内のゴルフでは、こうした「ルール不適合用具」を使用しても構わないと思う。まして、急激に減ったゴルフ人口を上向かせるためには、どうするか。長くゴルフをやってもらうための高齢化対策が必要だし、女性や若年層にゴルフを始めてもらわなければ、ゴルフ界の将来が見えてこない。飛ばすだけがゴルフの楽しみではないが、飛ばないよりは飛んだほうが楽しいのは確かなことだ。

筆者の近著『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(上の書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします)

ゴルフショップをいくつかのぞいてみた。ルール不適合クラブやボールは確かに売られている。売り場のメイン商品になっているところもあった。ドライバーで1本7、8万円ほどの「適合クラブ」よりも少し割高だが、それぐらい需要があるということだろう。

プライベートで回りながら「不適合だから飛んだんだろ」とか、「不適合なのにそんなもんかい」などと言われるかもしれない。ただ、仲間内だとそれがまた、楽しいかもしれない。本人にとっては飛距離が出たら気持ちいいだろう。

何より、ゴルフが面白くなって続けていけば、「不適合」では満足せず「適合」でやりたくなってくれるはずだ。そのぐらいの気持ちで「不適合」を見ていこうと思った。

赤坂 厚 スポーツライター

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あかさか あつし / Atsushi Akasaka

1982年日刊スポーツ新聞社に入社し、同年からゴルフを担当。AON全盛期、岡本綾子のアメリカ女子ツアーなどを取材。カルガリー冬季五輪、プロ野球巨人、バルセロナ五輪、大相撲などを担当後、社会部でオウム事件などを取材。文化社会部、スポーツ部、東北支社でデスク、2012年に同新聞社を退社。著書に『ゴルフが消える日 至高のスポーツは「贅沢」「接待」から脱却できるか』(中央公論新社)。

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