「ゴルフの祭典」といわれる米国のオーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブで行われた「マスターズ」が終わった。セルヒオ・ガルシアというスペインの選手が勝ったのだが、ゴルフ界ではこの優勝が因縁めいていたので、感動を呼んだ。
2011年に亡くなったセベ・バレステロスという、1970年代後半から1980年代に活躍したスペインの英雄の誕生日であり、存命なら60歳の還暦を迎える日に、セベを尊敬していたガルシアが優勝したから。途中でガルシアが見せたポーズをセベとダブらせたゴルフファンも多いのではないだろうか。セベほど派手ではなかったが。
このところ毎年のように思うのが、今の世界のトッププロの飛距離のすごさ。最終日、ベストスコアをマークした松山英樹は、勝負どころとされている13、15番ホールのパー5の第2打がともに8番アイアンだったという。
プロの飛距離が伸びた理由
ゴルフを知らない方のために言うと、8番アイアンというのはショートアイアンといわれ、あまり飛ばずに正確に距離を出すためのクラブで、今のプロだと平らなところで飛距離は160~170ヤードぐらいだろうか。どちらのホールも500ヤード以上あるので、第1打のドライバーショットはゆうに300ヤードを超えている。
37歳のガルシアも2番ホール(パー5)で下り坂にかかったとはいえ350ヤードぐらい飛ばしていた。19歳でマスターズのベストアマチュアに輝くなどして、彼が「神の子」と呼ばれた頃よりも、40歳を目の前にした今のほうが飛んでいる。
セベが活躍していたころとは、用具がまったく違うものになっている。当時はいちばん遠くに飛ばせるドライバーのボールを打つヘッドという部分は主に「パーシモン」という柿の木で作られていた。300ヤードを飛ばすような選手はまれだった。
1990年代から金属製のヘッドのドライバーが徐々に主流となり、それに合わせてボールも改良され、特にプロの飛距離が伸びた。いまや300ヤードは米ツアーでは平均のようになっている。野球でいうと主にアマが使う金属バットとプロが使う木製バットの違いと言えばわかりやすいかもしれない。
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