原則、法科大学院を卒業しなければ司法試験の受験資格が得られない現在では、弁護士デビューの年齢はさらに高くなっている。現役で大学に入学、法科大学院が2年コースで司法試験に一発合格という最短コースでも、司法試験合格時点で25歳だ。そこから1年間の司法修習を経て、弁護士デビューするのは26歳。
旧試験時代なら大学在学中に司法試験に合格、大学卒業後2年間の司法修習を経て、24歳で弁護士デビューというのが最短だった。
法科大学院が3年コースで3回目の司法試験受験で合格という人だと、合格時点で既に28歳。1年の修習を終えると弁護士デビューは30歳近くなってしまう。
その時点で、新卒で高サラリーの企業に就職した同期がもらっているであろうサラリーを考えたら、高収入を第一の目的にするのであれば、高サラリーの企業に新卒でさっさと入ったほうが、よほど確実に目的を達成できるのだ。
総じて法曹を目指す人のマインドは、世間が思うよりもはるかに純粋だ。社会正義を実現したい、グローバルカンパニーを法的な側面で支援をすることを通じ、日本経済の発展に貢献したい、といった高邁な目的があればこそ、難関試験にも挑める。
司法修習を経て、徐々に現実の弁護士業務への理解が進んでも、なお、新人弁護士が抱く理想は高邁だ。それでも現実に初任給という形で自分の価値に値段がつく段階になると、やはり高い値段をつけてくれる事務所に素直に心が動く。ブル弁事務所へのあこがれは、スケールの大きい仕事ができるということへのあこがれが第一ではあるが、自分に高い値段がつくことへの誇りが相まったものといったところだろう。
9時-5時(AM)労働を覚悟すべき大事務所
だが、ブル弁事務所は入所後にハンパじゃない長時間労働と熾烈な競争が待ち構えている。
まず労働時間だ。一般に4大事務所のオンタイムは「9時-5時」と言われる。これは午前9時から午後5時を指しているのではない。午前9時から午前5時のことを言うのである。もちろん象徴的な意味での言い回しではあるのだが、職場のすぐ近くに住居を構え、午前9時から翌朝5時まで働き、短時間の仮眠後、午前9時には業務を開始できる。そのくらいの覚悟がなければ入所すべきではないという、覚悟を促す言い回しなのである。
パートナーですら、いやパートナーこそ日々研究を怠らず、最新のノウハウを仕入れ続けなければ、瞬く間にクライアントから見捨てられる。この程度の覚悟がなければパートナーに出世することなど、どだい無理ということなのである。
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