ロースクールやMBAは実務で役立ちますか?

【キャリア相談 Vol 11】

何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。

アメリカの大学院でMBAや法学修士を取得するメリットはあるのか
【Vol 11】 ロースクールで学んだことは実務で役立ちますか?
 初めまして。4月よりメガバンクに入行予定の帰国子女の者です。将来的にLLM留学をして米国弁護士の資格を取得したいと考えております。
 そこで、ワシントン大学ロースクールで法学修士を取得されている塩野さんに、以下の内容を質問させていただきたいと思います。
 金融機関で法律を専門としない業務に従事する場合、米国でのLLM等で習得した法務知識は実務でどのように役に立っているのでしょうか? また、いわゆる事業法人で勤務する場合(法務部等ではない部署)、どのように役に立つのかも教えてください。
 MBAや日本の弁護士がLLM留学した情報は多くあるのですが、弁護士ではない方のLLM留学の情報が少ないのでよろしくお願いします。

下位のロースクールは厳しい

今回はメガバンクに入行予定の方から、日本の弁護士ではない人が米国でのロースクールを卒業した場合、どのように役立つのか?という比較的ニッチな質問です。筆者が米国ロースクールの法学修士(LLM)ということでお答えさせていただきます。

結論から申しますと、筆者の場合、ロースクールは趣味です。それほど役に立っていません。と言うと話が終わってしまうので、今回はロースクールやMBAの意義に関して、少し整理してみます。

ちなみに近年、日本でもロースクールを卒業した弁護士がなかなか法律事務所に就職できず、他人の事務所の軒先を借りる「ノキ弁」や、事務所さえもなく携帯電話で客をとる「ケータイ弁」まで、新人弁護士の苦境が伝えられています。こうした状況は日本よりはるかに弁護士数の多い米国の状況を見ると、容易に想像できたことではあります。米国では法律事務所が潰れることもありますし、弁護士では食えないためにほかの仕事をしている人もいます。

注目すべきは、米国のロースクールのランキングにおいて上位校は司法試験合格率も就職率も就職先もよいですが、下位校は非常に厳しいという現実です。筆者は日本の弁護士の質も人によって雲泥の差があると思っていますので、司法試験に受かったら安泰ということではなく、競争環境にあることには賛成です。ただ、日本も米国のようにロースクールのランキングで新人弁護士のスタートラインが決まるようにはなっていくのでしょう。

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