何かにつけ不確実性の高い現代。一生安泰の仕事も、未来永劫つぶれない企業も存在しない。自分の仕事に明日があるのか――それをつねに考えておかないといけない時代だ。 この連載では、悩めるビジネスパーソンからのキャリア相談を募集。外資系金融、コンサル、ライブドア、企業再生コンサルなどを渡り歩き、数多くの業界やスタートアップに精通する塩野誠・経営共創基盤(IGPI)パートナーに、実践的なアドバイスをしてもらう。
下位のロースクールは厳しい
今回はメガバンクに入行予定の方から、日本の弁護士ではない人が米国でのロースクールを卒業した場合、どのように役立つのか?という比較的ニッチな質問です。筆者が米国ロースクールの法学修士(LLM)ということでお答えさせていただきます。
結論から申しますと、筆者の場合、ロースクールは趣味です。それほど役に立っていません。と言うと話が終わってしまうので、今回はロースクールやMBAの意義に関して、少し整理してみます。
ちなみに近年、日本でもロースクールを卒業した弁護士がなかなか法律事務所に就職できず、他人の事務所の軒先を借りる「ノキ弁」や、事務所さえもなく携帯電話で客をとる「ケータイ弁」まで、新人弁護士の苦境が伝えられています。こうした状況は日本よりはるかに弁護士数の多い米国の状況を見ると、容易に想像できたことではあります。米国では法律事務所が潰れることもありますし、弁護士では食えないためにほかの仕事をしている人もいます。
注目すべきは、米国のロースクールのランキングにおいて上位校は司法試験合格率も就職率も就職先もよいですが、下位校は非常に厳しいという現実です。筆者は日本の弁護士の質も人によって雲泥の差があると思っていますので、司法試験に受かったら安泰ということではなく、競争環境にあることには賛成です。ただ、日本も米国のようにロースクールのランキングで新人弁護士のスタートラインが決まるようにはなっていくのでしょう。
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