ロースクールやMBAは実務で役立ちますか?

【キャリア相談 Vol 11】

本論に戻ります。よく間違えられるのですが、筆者は米国ロースクールを出た後で投資銀行やコンサルティング会社に入ったのではなく、ロースクールに入学したのは投資銀行やコンサルティング会社を経た後の30代に入った頃でした。そしてよく筆者は勉強好きと勘違いされるのですが、筆者は勉強というものが嫌いかつ非常に不得意であり、大学における総勉強時間はおそらく27分くらいではないかと考えられます。

そんな筆者ではありますが、20代では敵対的買収を含む多くのM&Aのディールや会社の取締役を経験した中で、コーポレートファイナンス、M&A、コーポレートガバナンスといった実務知識の体系化の必要性を感じていました。20代は日々の必要に迫られ、実務のための知識を現場で身に付けていきましたが、ボロボロと穴があるような知識の中で、体系化の必要性を感じていました。ある意味で実務の中から構造化の欲求、学習への意欲が芽生えたともいえます。

学歴シグナリングの重要性

一方で在籍した投資銀行やコンサルティング会社ではMBAは持っていて当たり前で、特に戦略系コンサルティング会社ではMBAは「バケーション」と呼ぶのが普通でした。「いつもはクライアントにチャージ(課金)しているのに、なんで学校(MBA)にチャージされなきゃいけないの?」という人も多くいました。確かに、アップオアアウト、つまりクビか昇進かの環境の中でつねに仕事をしているプロフェッショナルからすればMBAはバケーションといえます。

また、外資系金融もコンサルも筆者のような「私大文系」の新卒というものは珍しく、時に「どうやって入ったの?」的なことを真顔で言われるので、かなりコンプレックスがありました。そのため、いつかは「私はバカではなく、マネジメントの知識も少々あり、英語での意思疎通も可能」ということをシグナリングするためにMBAには行きたいと思っていました。

コンサルタントやM&Aのアドバイザーにおいて、若いうちに「バカではなく、英語もできます」という学歴シグナリングは重要です。普通に考えれば、20代の少年少女が白髪の経営者に「この事業は収益性の高いうちに売却すべきです」と提言することは結構難しいはずです。わが国においては弁護士や会計士といった資格保有者であれば、プロフェッショナルとしてそこそこの信用は得られますが、ただのコンサルタントはなかなか信用を得にくいものです。

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