日本人の英語習得、二重のハンディキャップ 「効率的」な教育ではカバーできない部分と、言語としての「遠さ」

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英会話習得のポイントと「二重のハンディキャップ」

それは、教育方法を改善するというよりも、公平な評価を担保しようとすることそれ自体に内在する、逃れることのできない問題なのかもしれないということです。私は、会話能力の習得においては、とりわけ、次の2点が重要と考えます。

① 片言、不躾な表現であっても、笑顔と身振り手振りで補うようにする
 「Do you mind if….えぇっと何だけ」で口ごもるよりも、“Cold~☆” 手を組んでブルブルとするほうが伝わる(男性は苦手でしょうか)。

② 間違いはマルかバツかの0-1なのではなく、程度がある
 三人称に“s”を付け忘れると減点。冠詞の“a”と“an”を間違えてまた減点……。確かに文章でそういう間違いをすると恥ずかしいが、今や、自動スペルチェッカーの時代ですよ。そもそも話している分には、「軽度」な誤りと考えるべきでしょう。

 

しかし、教育において、ある程度の公平性効率性を担保しようとするかぎりにおいては、「笑顔」を採点の評価に入れたり、「間違い」には程度があるなんてことを言うことは困難なのではないでしょうか。

著者撮影:トロント・レファレンス図書館にて

その意味で、われわれ日本人は、そもそも日本語が英語から「遠い」言語であるということに加え、その誇る教育制度という点からも、「二重のハンディキャップ」を抱えていると言えるかもしれません。

さて、今回も最後となりました。つい先日、地元の公共図書館で、図書館証を作成したときの話で終わりたいと思います。

 「誕生年は?」
 「月は?」
 「日は?」

と聞かれて、それぞれに答えていった後、私は咄嗟にこう冗談を言ってみました。

“I’ll become forty years old next month. It’s scared.”

すると、対応してくれていたたその美しい白髪と眼鏡がマッチした初老と思しき女性は、目をスクリーンから上げて、こう答えたのです。

“Don’t be scared. It’s just wonderful.”

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