日本人の英語習得、二重のハンディキャップ

「効率的」な教育ではカバーできない部分と、言語としての「遠さ」

"Summer"が、日本語の「夏」と同じ意味とは限らない

著者撮影:ジョギングコースにある美しいCasa Loma

読者の皆様、前回の掲載から一月以上が経ちましたが、いかがお過ごしでしょうか。今年の日本の暑さは例年にも増して厳しいとのことで、皆様におかれましては、くれぐれもご自愛ください。

こちらトロントでは、緯度の高さが理由で日差しは強いのですが、普段の最高気温は30度ほど。オンタリオ湖に接しているためでしょうか、日によって少し蒸す日もありますが、これに文句など言おうものなら、日本にいらっしゃる皆様からはお叱りを受けることでしょう。

さて、「夏」で思い出すのが、評論家として知られ、2008年にご逝去された故加藤周一氏の言葉です(出所は『加藤周一セレクション〈1〉科学の方法と文学の擁護』平凡社ライブラリー)。

英語で、たとえばシェイクスピアの『ソネット』(Sonnets, XVIII)に出てくるsummer、これは夏と訳すほかなく、ちょっと春とは訳せないでしょう。春という別の英語があるわけだから。しかし、英国の夏は 普通気持ちのよい季節です。英国の詩人は、夏が終わるのが残念だという。ところが、日本の夏は、・・・(中略)・・・むし暑くて辛い時期でしょう。・・・ (中略)・・・短くて困るということはないわけです。しかし、英国詩を訳せば、summerはどうしても夏とするほかはない。要するにある文化のなかで もっている夏の意味は、日本での夏の意味とは同じではない。翻訳することが困難だというのはそういうことです。

 また、加藤氏は、次のようにも述べています。

「一ヵ国語による表現には、他の国の言葉に訳せる部分と、訳せない部分がある。訳せない部分は、人情の機微につながり、ものの考え方の特殊な習慣に係り、つまるところその言葉による文化の総体に関連している。」(『加藤周一著作集 (15)上野毛雑文』平凡社)

ということで、前口上よろしく、今回は、読者の皆さんも少なからずご関心があると思われる「英語」について、最近私が考えたことについて(いつものように取り留めもなくですが)述べてみることにしましょう。

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