ダメな上司は部下の失敗を一緒に背負えない 防衛大で学んだ「連帯責任」の重み
ただでさえ、時間のない1学年です。1時間前に告知されて、あわてて作業服のアイロンがけをしたり、靴を磨いたりするのですが、開催時間にはまず間に合いません。ひどいときには、いざ準備をしようと部屋に戻ったら部屋のベッドが見事なまでに解体されていたり、靴を履こうとしたら靴ひもがすべて取られていたりと、ありとあらゆる手を使って時間は奪われます。
開催時間に遅れ指導される、作業服のシワで指導される、靴の汚れで指導されるといった具合です。そして、お決まりのセリフです。「時間はつくるもんだろっ」。優先順位といった問題ではありません。
そんななか、私の同部屋のN学生は完璧にいつも準備します。N学生はさほど目立つタイプでもなく、ちょっと気が弱く上級生に軽い指導をされても落ち込む学生です。そんなN学生に準備のコツを聞くと、
「時間に遅れるのがいちばんまずい。ミーティング用の作業服を自腹で1着買った。つねにアイロンがけをし、きれいな状態でロッカーにストックしている。怒られるの嫌だから」
納得しました。N学生は見事なまでに時間をつくっていました。時間のプレッシャーで人は「考える人」に変わるということを見せつけられました。
「タイムプレッシャー」制度
「時間はつくるもの」という意識は、私が一般企業に入っても持ち続けました。そのため勤めていたITベンチャーで管理職になったとき、部下たちの「時間の使い方」には悩まされました。「タイムマネジメントをしっかり行おう」「優先順位をつけて仕事をしよう」と言ったときは威勢よく「わかりました!」なんて言いますが、いざ一日の終わりに部下の行動をチェックすると、タイムマネジメントも優先順位も何もありません。「やる」と決めたことを何1つできていないときもありました。
そんな状況下でとり入れたのが、「タイムプレッシャー」制度でした。ちょっと負荷のかかる仕事を早めの「納期」で対応してもらいます。ルールはたった4つです。
(2)「納期」の明確化と厳守
(3)途中経過報告の「期限」を設ける
(4)終了後に振り返りの時間を設け「改善改良」に努める
たったこれだけです。たとえばですが、これまで5日間かけて作っていた提案書は、3日間で作ってもらいます。これまで4日間で行っていた300件の取引先フォロー電話は2日間で終わらせてもらいます。そして、中間地点の報告を確実にしてもらいます。
この繰り返しで仕事のスピードアップが実現しました。そして、何よりも「納期」までにどうやって仕事を終わらせるかを部下たちが自主的に考えて行動するようになりました。
無料のITツールを導入したり、移動時間を有効に使ったりと創意工夫する部下も生まれました。仕事を早く終わらせて生まれた時間はプライベートに使ったり、読書やセミナーなどの自己投資に充てたりする部下も増えてきて、メリハリのあるチームにもなりました。
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