ダメな上司は部下の失敗を一緒に背負えない

防衛大で学んだ「連帯責任」の重み

一方、部下にプレッシャーをかけるだけがリーダーの役割ではありません。時には部下の失敗を自分も一緒に背負う覚悟も必要です。

全寮制の防大では、学生間での盗難防止が徹底されています。貴重品の管理は一人ひとりに与えられた机で行われています。私の1学年時は、1学年と4学年で構成されている1部屋5人部屋(4学年1人、1学年4人)だったのですが、学年に関係なく全員、鍵をかけることを徹底されていました。

しかし、中にはいます。鍵をかけ忘れる学生が――。防大では、この鍵をかけ忘れることを「鍵付き事故」と呼びます。事故と呼ばれるくらいなので鍵をかけ忘れようものなら1週間ほどは上級生からの厳しい指導が続きます。1学年は最初の2週間で30人ほどやめるのですが、おそらく鍵をかけ忘れ、事故を起こした学生も複数いたと思われます。

かく言う私も入校後、4日目にして鍵をかけ忘れるという失態を犯しました。私のときは悲惨でした。というのも、私自身への指導はなかったからです。その代わりに待っていたのが、同部屋の同期の学生に対する指導でした。

具体的には、私を含めた同期4人が上級生の元に呼ばれ、そこで腕立て伏せをやらされます。ただし、実際に腕立て伏せを行っているのは私以外の3人です。

私はといえば、腕立てをしている同期の前に立ち、ひたすら腕立ての回数を叫びます。1学年ですし、30回を過ぎたあたりから腕立て伏せができなくなります。私は腕立て伏せができずに上級生から罵声を浴びせられている同期の前に立ち、ただただ回数を数えているだけです。その夜、防大に入校し、初めて泣きました。

自分のミスのせいで周囲に迷惑をかけてしまい、罪悪感と情けなさで涙は止まりません。そんなときに部屋の4学年から言われた言葉は忘れられません。

「同期は家族。家族のミスは連帯責任……」

私のミスで腕立て伏せを行った同期も文句1つ言いません。何も言われないとつらさも倍増します。

自分が罰を受けるより、自分のミスのせいで周囲が罰を受けるほうがつらいということを実感します。連帯責任ほどつらいものはないと心の底から思ったものです。

遅刻常習犯の部下

この経験は私が管理職になったときに生かされました。当時勤めていたITベンチャーで、事業部長を任せられてしばらくしたころに部下のH君が遅刻をしました。もともとH君は遅刻常習犯と聞いていましたので、ルールとして「時間は必ず守る」ということを部下全員に周知していました。そして、ルールを破った人間にはペナルティを科すことも伝えています。

こうした経緯があり、H君は私に怒られると思ったのでしょう。申し訳なさそうな顔はしているけれど、ちょっと不機嫌な表情をしています。私は全員を会議室に集め、ルールを破ったペナルティを伝えます。

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