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松下幸之助「大企業病を防ぐことはできる」 経営の神様が語った成功の奥義

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  • 江口 克彦 一般財団法人東アジア情勢研究会理事長、台北駐日経済文化代表処顧問
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大きな会社、大きなお店になると、いわば重心が限りなく足のほうにいく。そうすると、あんまり動かなくなる、というより動けなくなるんや。そうなると、重心が足にあるからな、上のほうが少々さびてきても腐ってきても、全体としてなかなか倒れへんわけや。

だから、わからんのやね。自分の会社がさびて腐り始めておるということが、わからんのや、経営者も、従業員も。

ただ、統合して、会社を大きくするということは…

そこでや。大きな企業、大きなお店が心掛けんといかんことは、どうやって不安定な要素を入れていくか、創っていくかということや。「会社の安定のために不安定を考える」。それができん経営者は失格やね。

その不安定さを、どう考えるか、これは、それぞれの会社やお店によって違ってくるからな、一概にこれがいいとは言えんけど、わしの場合には、ひとつ挙げれば、事業部制であったと言えるわけや。

きみ、前にも言ったかもしれんが、事業部制のいいところは、責任が明確になること、人材が育つこと、そういうことであるけれど、実はもうひとつ、不安定な状態を創り出すこと、すなわち、危機感の創出というところにもあるんや。

そりゃそやろ。たとえばな、アイロン。あんたとこは、アイロンだけで商売しなさい。それ以外はやったらあかん。あんたとこは、ラジオだけや。ラジオだけで商売しなさいということになれば、それはたいへんだということになる。アイロンがどうも売れんから、ほかの商品で商売しようか、ラジオがどうも利益があがらんから、ほかのもので利益をあげようかというような、まあ、いわば、逃げることができんわな。

なんとしてもアイロンはアイロンで、ラジオはラジオで必死に経営を考える。会社全体としてはうまくいっておるけれど、個々には、そういうことでひとつの危機感をもつ、創り出す。これが不安定要素をとりいれるということになるんやな。

このごろは、事業も総合的に考えんといかんようになってきたから事業部制も工夫をせんといかんと思うけど、こういう事業部制の原点というか、哲学はちゃんと継承せんといかんわな。ただ、統合して、会社を大きくするということは、結局は、会社を潰すことになると、わしは思っている。

最初の商売をしたときに、胸がどきどきしたようなこと、お客さまの後ろ姿にいつまでも手を合わせておったことを忘れず、いくら、会社が、お店が大きくなっても、初心を忘れたらあかんし、安定を求めるのはいいが、安定に胡坐(あぐら)をかくようではいかん。経営者は、そのためには、意図して、そういう、まあ、不安定さを創り出す、そういう心掛けが大事だということや。

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