幸之助は弱みを強みに変えることができた

見せかけの強さから出発してはならない

幸之助が成功した理由とは?(写真:読売新聞/アフロ)

松下幸之助という人と長年接していると、この人がはたしてわずか50年ほどの間に、ゼロから出発して世界的大企業をつくった人物なのだろうかと思う瞬間を、ときおり感じることがあった。

特別に他人を圧倒するような腕力があるのでもない。とりわけ群を抜いて豊富な知識を持ち合わせているようにも見えない。

テレビで高校野球を見ている、相撲を見ている、その横顔を見つめながら、この人にはほかを威圧するなにものも持ち合わせていないというように思えた。そればかりではない。ときにあまり自信のない表情が、その顔をよぎることがあった。

恐る恐る経営に取り組んでいた

著者の近著『上司力20』は好評発売中

松下は、経営にたずさわっていた間、ずっと恐る恐る経営に取り組んでいた、と言うこともできるのではないか。

いや、人生そのものが恐る恐るだったと言うこともできるのかもしれない。しかしそれならば、この圧倒的な存在感はなんであろうか。なによりもその実績は、とてつもなく大きい。

あるとき、松下は次のように答えたことがある。

うん? わしが成功した理由か? そやなあ、ようわからんな。きみが聞くように時折、どうしてあんたはこんなに会社を大きくしたのか教えてくれ、どんな方法があるのか教えてくれ、というようなことを聞かれるときがあってな。けど、そんなことは聞かれても、あれへんわけや。けどな、強いて言えば、わしが凡人やったからやろうな。人と比べて誇れるようなものはない。それがよかったと思う

次ページ過酷な少年時代だった
キャリア・教育の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • コロナショック、企業の針路
  • 「脱ゆとり世代」のリアル
  • コロナ後を生き抜く
  • 日本と中国「英語教育格差」
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
文具業界を揺るがす動乱<br>「コクヨvs.プラス」の全真相

昨年末のぺんてる株をめぐる文具2強によるプロキシーファイト(委任状争奪戦)。両社のバトルには、8月に設立したプラスの卸子会社が2年前の計画で一度頓挫していたことにも伏線が。縮小する文具業界再編をめぐる壮絶な主導権争いに迫ります。