人間は誰でも成功するようになっている。仕事であれ経営であれ、あらゆるものは、もともと必ず成功するようになっている。そう言うと、読者は少し驚かれるかもしれない。しかし松下幸之助は常々そう話していた。その言葉は松下の体験と、次のような考え方を重ね合わせるところから導かれていた。
松下の歴史をみるスパンは非常に長い。トインビーは人間が誕生して以来の歴史を考察したが、松下は地球の誕生からさらに遡り、宇宙の誕生以来というスパンで歴史を考えた。するとそこに、宇宙万物は生成発展しているという理法を発見した。
日常的な言葉で言えば、要するにあらゆるものは発展しているということである。火の玉だった地球が緑の地球になった。あるいは、もともと裸で歩き回っていた人間と今日の人間を比べてみれば、そこに発展があるというのは、おのずと納得のいく考え方である。
宇宙には生成発展の法則がある
宇宙には、生成発展するような、そういう一つの法則というものが働いている。宇宙に働いているということは、人間にも働いているだろう。すなわち、誰でも成功するような存在として、生まれてきているはずである。それなのに、なぜ成功することができないのか。
松下は次のように説明する。「経営はもともと成功するようになっておる。それが成功しないのは、経営者が自然の理法に則って仕事を進めておらんからや。やるべきことをやる、なすべからざることはやらない。そうしたことをキチッとやっておれば、経営は一面簡単なものや」。
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