松下幸之助は座布団の置き方にもこだわった

成功する人は「小さいこと」を疎かにしない

松下はどうして「小さなこと」にこだわるのか(写真 :kelly marken / PIXTA)

「きみ、電気ストーブのスイッチ、切れや」

松下幸之助のもとで最初の2カ月が経った、昭和42(1967)年11月の中頃。それまでほとんど注意らしい注意をされたことのなかった私は、内心驚きを禁じえなかった。

松下の「小さなこと」へのこだわり

松下グループの総帥である松下ともあろう人が、ストーブのスイッチを切るようにいちいち指示を出す。あまりに小さ過ぎる注意で、そんな細かなことを言うのは松下に似合わない、と思えたからだ。夕方、真々庵(しんしんあん)からすぐ近くの楓庵(かえであん)へ帰るために部屋を出たところで松下は、見送りのために一緒について出ようとした私をふりかえり見て、そう言った。

驚いている私に、さらにこう付け加えた。

「誰もおれへんのに、ストーブ、つけとく必要はない。それに危ないやろ、火事にでもなったら」

その驚きのせいだろう、それからしばらくの間、松下の「小さなこと」へのこだわりが、私の強い関心事となった。

お客さまを招いたときには、約束の1時間か2時間前にやって来て、すべて自分で陣頭指揮をとりスケジュールを決め、係の者たちに細かな指示を与えるのがつねであった。

私が松下のそばで仕事をするようになって、初めてお客さまを迎えたときも、やはり1時間ほど前に真々庵にやって来た。いろいろな人に指示を与えてから、私に、庭に回って歩くからついてこいと言う。歩きながら、ところどころで立ち止まっては、ここではお客さまにこういう説明をせよ、この石はなんの石と解説しなさいと、一つひとつこと細かに指示を出した。

次ページ来客があった時のこだわりとは?
ライフの人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • ブックス・レビュー
  • 最新の週刊東洋経済
  • トクを積む習慣
トレンドライブラリーAD
人気の動画
商社大転換 最新序列と激変するビジネス
商社大転換 最新序列と激変するビジネス
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
「話が伝わらない人」と伝わる人の決定的な差
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
渋谷駅、谷底に広がる超難解なダンジョンの今
銀行員の出世コースに見られ始めた大きな変化
銀行員の出世コースに見られ始めた大きな変化
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
日本企業は米中の板挟み<br>全解明 経済安保

先端技術をめぐる米中の争いは日本に大きな影響をもたらします。海外からの投資は経済を活性化させる一方、自国の重要技術やデータが流出し安保上のリスクになる可能性も。分断の時代に日本企業が取るべき進路を探ります。

東洋経済education×ICT