希望する企業の内定を獲得するためには、越えなくてはならない2つの大きな壁がある。ひとつは言わずと知れた「面接」、そしてもうひとつが「エントリーシート」だ。「エントリーシート」は、最初に就職ナビや企業の採用ホームページから登録する「プレエントリー」と区別するために、「正式エントリー」あるいは単に「エントリー」とも呼ばれる。
エントリーシートはソニーが初めて採用
日本でエントリーシートを最初に採用したのは、ソニーが1990年代初頭、「学歴不問採用」を打ち出した際に用いた「エントリーシート」にある。それまで技術系においては、推薦を依頼した大学からの採用という、実質的な指定校採用が主流だった。ソフトウエア企業や金融などの非メーカーによる技術系採用が増え、文系同様の自由応募も始まってはいたものの、大手企業では難関校・伝統校を中心に採用を進めていた。そんな時代にソニーは、「新しいものは異質なものが集まった中から生まれる」を謳い文句に、大学名の記入欄のないエントリーシートによる採用を打ち出したのである。採用のほとんどを、リクルーターや指定校に頼っていた他の大手企業も、表向きには「学歴不問」を謳わざるを得なくなっていく。メーカーにも本格的な自由応募の波が訪れることとなった。
1995年12月には、現在の「マイナビ」の前身となる「Career Space」が、翌1996年2月には「リクナビ」の前身となる「RECRUIT BOOK on the Net」が、サービスを始めるなど、就職ナビが次々と登場した。当初は、就職情報誌と併用していたが、ネットインフラの普及とともに主役は就職ナビに代わり、就職情報誌はどんどん廃刊していった。
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