中央区は「35歳以上未婚女子」が集う街だった 「働く女子たち」は東京の街を変えるのか?

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ちなみに、若い女性の未婚者が多い都市としては福岡市が知られているが、なんと福岡市では20歳から41歳まで、未婚女性が男性より多く、25歳に至っては、未婚女性1人あたり男性が0.88人である。

どうも、渋谷区と福岡市には若い未婚女性を引きつける何かがあるらしい。ともにファッション、美容関係など、若い女性が従事することの多い仕事が多いことの影響もあるのだろうか。なお、福岡市の場合は女性の平均初婚年齢29歳を過ぎても未婚女性が過剰な状態だが、これは保守的な九州人が、娘が福岡に行くことは許しても、九州の外には出さない傾向があるため、とも言われる。

そして、中央区は35歳以上で未婚女性が男性よりも多い。これは先ほど見たような、ホワイトカラーのキャリア女性が1人で住んでいるケースが想定されるであろう。

東京は江戸以来、未婚男性が未婚女性よりも多い都市であった。東京に必要とされる労働力が主に男性のそれだったからである。しかし産業構造のサービス化、知識産業化、女性の高学歴化などにより、女性が東京都心に住んで働くようになったのである。

そうした女性たちにとって東京都心が住みやすいかという観点から見てみると、都市開発や不動産商品の観点からは、まだ多くの課題が見つかりそうである。

三浦 展 社会デザイン研究者

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みうら あつし / Atsushi Miura

カルチャースタディーズ研究所主宰。1958年生まれ。1982年に一橋大学社会学部卒。パルコに入社し、マーケティング誌『アクロス』編集室。1990年に三菱総合研究所入社。1999年に「カルチャースタディーズ研究所」を設立。消費社会、家族、若者、階層、都市などの研究を踏まえ、新しい時代を予測し、社会デザインを提案している。 著書は、80万部のベストセラー『下流社会』のほか、『第四の消費』『日本人はこれから何を買うのか?』『東京は郊外から消えていく!』『毎日同じ服を着るのがおしゃれな時代』『あなたにいちばん似合う街』など多数。

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