「同一労働同一賃金」は、一体何を変えるのか 「正社員だから高賃金」は通用しなくなる

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「同一労働同一賃金」は、日本での雇用慣行を考えると導入は難しいとされてきたが…(写真:ABC / PIXTA)

長年の日本における雇用慣行である「年功序列」に、終止符を打つ決定打となるか。12月20日、政府は「同一労働同一賃金ガイドライン案」を公表した。「同一労働同一賃金」とは、職務内容が同一または同等の労働者に対し同一の賃金を支払うべきという考え方。今回のガイドライン案は、正社員と非正規社員で待遇差をつけるのが不合理か否かについて、基本給や賞与、各種手当など、対象を細かく分類したうえで具体的の例示にまで踏み込んでいるのが、大きな特徴だ。

年功序列に否定的なメッセージ

待遇差について「客観的な理由(合理的な理由)」が認められるかは、個別具体的な事案について裁判所が判断し、その蓄積によって今後に規範として定着していくことになる。

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しかし、これでは基準が明確になるまで時間がかかることは避けられず、予測可能性という面で混乱が発生するおそれが指摘されていた。そこで「不合理な処遇差」の中身について、政府として指針を示す必要があるということになり、具体例をつけたガイドライン案の公表に至ったのだ。

これまでの議論では、同一企業内での正社員、非正規社員の待遇差が問題にされている。安西法律事務所の倉重公太朗弁護士は「基本給の部分まで、これほど踏み込んでくるとは思わなかった。ガイドラインには、『年功序列はやめよう』というメッセージが明確に込められていると感じる。欧州の『ジョブ型雇用』を目指す方向性としては理解できるが、突然対応しなければならない企業は大変だろう。また、本来、欧州型を志向するのであれば、解雇規制についても欧州のように金銭解決などを併せて検討すべき」と話す。

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