――エステ業界は、労働環境が厳しいとのイメージが強い。これまでもいくつもの会社で、労働基準法違反を伝える報道があった。
業界の構造として問題があったことは否定できない。まず、5~6年前から、人材不足が本当に深刻になっていることが原因の根幹にある。求職者には、通常の事務職、オフィスワークのほうが人気のため、サービス業は「滑り止め」という感覚が強い。わが社でも、以前に比べて現場の従業員数が不足しており、特に若い人の数が少なくなってしまっている。
そうした中、エステとは異なる「脱毛専門サロン」という業態が出てきて、労働市場環境の問題が大きくなってきた。「脱毛専門」を掲げる会社は、一見すると求人でとてもよい条件を出している。初任給で25万円というところもあり、どうしても求職者は流されてしまい、我々としても人材獲得がさらに難しくなってきた。
「固定残業代含む」に潜む問題
――しかし、それは「固定残業代含む」という形にして、その他の残業代が未払いであるところが多いことが実態。求人段階では魅力的な条件を掲げて人を集めておきながら、実際の労働環境が事前の情報と異なり劣悪という、不意打ちのような手法が蔓延している。
うちは、もともと固定残業代を入れていなかったため、かつて1番安い地域で16万円台の求人もあったが、大手という安心感もあり、それでもたくさんの応募があった。しかし、固定残業代を含む求人広告を出しているところには、まったく対抗できなくなってしまった。最近では固定残業代を含むことで、初任給で21万円ほどになってきているが、この方向を続けてもいたちごっこのような状態になる。
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