年の瀬でもあります。今回は2016年に保険業界で起きた「消費者にとって好ましいと感じられる出来事」を振り返ってみます。
手数料を開示するようになった
まず、大手の銀行が窓口で販売されている一部の保険について、手数料を開示するようになりました。日本経済新聞によると、日本郵政グループの日本郵便とゆうちょ銀行なども手数料を開示する検討に入ったとのことです。
資産形成・運用目的で案内される商品では、手数料などの契約に要するコストは、「あらかじめ確定しているマイナス要因」ですから、消費者の判断を助けるうえでとても良いことだと思います。
一方、手数料が開示されることで、金融機関に高い収益をもたらす商品が売りづらくなることも想像されます。しかし、長い目で見ると、金融機関にとっても良いことに違いないと思います。商品の販売側にとって不都合な情報であっても、きちんと開示する姿勢が、顧客からの信頼獲得につながると考えられるからです。
この流れが、銀行で販売されている一部の保険にとどまらず、保険ショップなどの代理店や特定の保険会社に所属している営業担当者が取り扱う保険、さらにネットや通信販売専用の商品までひろがることを望みます。
金融機関の信頼にかかわることといえば、代理店による販売で成長してきたオリックス生命が、直属の社員による訪問販売を開始したことにも触れておきます。歩合制の報酬体系ではなく、固定給である点が画期的だと思います。営業成績が不振でも離職しなくてすむからです。
一般に、特定の保険会社に所属している営業担当者は、新規契約の多寡に収入が大きく左右される報酬体系のもとで働いています。そのため営業部門は、常に人材が定着しにくいという問題を抱えています。保険はシーズンごとに買い替えるような商品ではないため、新規の見込み客を絶やさないようにするのは容易ではないからです。
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