つまり、長生きしなかった人の保険料のうち「掛け捨て」になる部分が増えることで、長生きした人の年金受取額が増えるのです。これは、加入者が支払う保険料が、お互いを支え合うことになる保険の仕組みにとてもなじみます。「人が長生きする確率」を見込みで反映させる商品設計には、保険会社独自のノウハウが生かせるはずです。競合商品の登場が待たれます。
最後に、明治安田生命の「じぶんの積立」です。5000円から積み立てを始めることができ、中途解約時の元品割れが生じません。10年後の満期時受取額は払い込み総額の103%にすぎないものの、「生命保険料控除」による還付金があります。
いずれも旧態を脱する試み
私は、貯蓄商品が保険会社の商品ラインアップに不可欠だとは考えていません。保険商品にしか提供できないのは保障機能であって貯蓄機能ではないからです。
それでも「長期金利が低すぎて貯蓄商品の展開は困難」と言う業界関係者が多い中、きわめて仕組みがわかりやすい商品をSNSによって拡販し、顧客を増やしている大手生保の柔軟な企画力と実行力に一票入れたいと思います。
現状、手数料の開示はごく一部の営業現場で行われているに過ぎません。固定給の営業担当者の採用も始まったばかりです。「持病がある人も入りやすい死亡保険」や「長寿に備える保険」などにしても、商品として進化するのはこれからでしょう。ほとんど定期預金のような貯蓄商品にいたっては、体力がある保険会社にしか提供できないかもしれません。
とはいえ、いずれも旧態を脱する試みである点がすばらしいと思います。正直、私は、手数料の開示は「大人の事情」で進まず、長寿に備える保険なども消費者の誤解を恐れて発売に至らない、と想像していたのです。ところが予想は良い意味で裏切られました。2017年は、より商品やサービスの進化に期待しつつ、情報発信していきます。
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