「トランプ革命」の裏には貧者の誇りがあった 支持者が望む「力と存在意義」を与えられるか

✎ 1〜 ✎ 297 ✎ 298 ✎ 299 ✎ 最新
著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小
11月8日、ニューヨークに終結したトランプ支持者。彼らの望みは叶えられるのか? (写真: ロイター/Bria Webb)

ドナルド・トランプ米次期大統領は選挙活動中に、高学歴の高所得者層に対する大幅減税を提案した。だが彼を熱心に支持したのは、低学歴の低収入層だった。これはどういうことか。

トランプ氏を勝たせたのは、彼の支持者が抱いた経済的無力感や権力を失うおそれだったことは明白だ。「米国を再び偉大にする」という単純なスローガンは、彼らに「あなたをもう一度偉大にする」と言っているように聞こえる。経済力は、すでに成功した者から何も取り去ることなく、多数の人々に与えられることになる。

「中流」のプライド

経済格差の拡大に負の影響を受ける人々は、富裕層に懲罰的な課税を行い、そのカネを彼らに回すような政策を望まない。こうした再分配は彼らに屈辱や失敗、不安定さを感じさせるものだ。

絶望的に貧しい人々は、それもやむをえないと感じるかもしれない。しかし、少なくとも自分が中産階級だと考える人は、こうした再分配ではなく、自身の経済力を取り戻すことを望んでいる。

20世紀に共産主義者たちは経済格差を問題視したが、さほど成功しなかった。共産主義者が革命によって権力を握るには、労働者が団結、行動し、権限を与えられることが根本的に重要だった。

トランプ氏の支持者も、彼の勝利を「革命」と呼んだが、少なくとも選挙期間中に振るわれた暴力は、単なる侮辱に限られた。

次ページウィスコンシン州知事との共通点
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事