トランプを支える「バノン」の危険すぎる正体 極右メディアのドンが吠え始めた

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トランプ新政権で主席戦略官・上級顧問となることが決まったスティーブン・バノン氏(写真: Carlo Allegri/ロイター)

「俺は国粋主義者、それも経済国粋主義者だ。グローバリストらのせいで、米国の労働階級が骨抜きにされ、代わりにアジアで中流階級を生み出した」「トランプは、60%の白人、40%の黒人とヒスパニック層から支持を得た。今後、50年にわたって統治する」「われわれは、トランプムーブメントを始める。共和党のエスタブリッシュメントも撃ち倒す」「1兆ドルのインフラ事業を推進するのは、俺だ」――。

これは、米大統領選でトランプ陣営の選挙参謀を務め、トランプ新政権で主席戦略官・上級顧問となることが早々と決定したスティーブン・バノンが、選挙後に語った言葉の一部だ。「ぶち壊す」「根こそぎ」といった荒々しい表現が多出し、放送禁止用語もふんだんにちりばめられている。メディアで報じられる同氏の姿は、大抵髪がボサボサで髭も伸び、まるで寝起きのような格好だ。怖いものなしという風貌で、ある種の毒をまき散らすこともいとわない。

極右メディア元会長の多彩な経歴

ニューヨーク・タイムズ紙はバノンについて、「国粋主義的、人種差別主義者、女性蔑視派、外国人嫌い、反ユダヤ」と説明している。トランプが選挙活動中に口にしてきた数々の暴言が、そのままあてはまる。トランプへの同氏の影響力、あるいは同調がいや応なく感じられるところだ。

バノンは、過去にゴールドマン・サックスに在籍し、極右メディア「ブライトバート・ニュース・ネットワーク」元会長と説明されることが多いが、その経歴は実に多彩だ。

1953年、バージニア州ノーフォーク生まれ。生まれたのは、アイルランド系のブルーカラーで、ケネディ派の民主党支持者の家庭だった。高校卒業まもなく海軍に入隊、4年間を主にペルシァ湾の海上で過ごし、その後、ペンタゴンの海軍指揮官の特別補佐を務めた。海軍在籍中にバージニア工科大学に通い、ジョージタウン大学で国防学の修士号を取得。ただし、同氏の経歴はここから多岐に広がっていく。

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