(第8回)満足いく学生を1名入社させるために、何人と接触すべきか

 しかし、私に言わせれば、3年生や院1年生の春から、就活を意識し動き出すのはごく自然なことだと思う。なぜなら、3年生や院生になる前に行うゼミや研究室選びが、否応なく卒業後の進路について考えるきっかけとなるからだ。

 将来について、具体的にイメージしないまま、高校を卒業し大学に入学してしまった。ゼミや専門分野の選択も、本当はもっと卒業後の仕事や進路について研究した上で決めなければならないのだろうが、十分調べた上でゼミや研究室を決めたとは言い難い。
 そういう危機感が、仕事や企業に対する興味・関心となって、3年生や院1年生になったばかりの学生の意識を就活に駆り立てることはごく自然なことのように思える。実際にこの時期は「就活」といってもインターンシップを物色したり、自分自身のキャリアについて考えたり、友達と議論することが大半であり、早期化が悪いことのように捕らえられているとしたら、早まった考え方だと思う。むしろ逆に、将来に対しての意識が「学ぶ」ことへの興味・関心を高め、学業にもプラスに働くはずだ。(企業側としては、インターンシップの期間やセミナーの開始時間が学業の妨げにならないように注意する必要はある。)

 そして、「会社・仕事について知りたい」学生のために、近年増えてきたのが、様々なタイプの企業が主催するセミナーだ。プレゼンで聞けるような話は、ネット上の記事や動画で簡単に手に入る。ネットでは知りえないものを知るために、学生は様々なセミナーに積極的に参加する。(半数以上の学生が10回以上オープンセミナーに参加し、それらの開催時期は10~12月に集中している。)

 早い段階からキャリアを意識し、業界や仕事、企業について知ることができるオープンセミナーで進路を定め、年明けからはターゲットを絞って企業の説明会に参加する。そんな学生の姿が見えてくる。

 6割の学生が選考に進み、7%の学生が内定に至る。ここにあげた数値は平均値に過ぎない。しかし、自社の採用活動が上手くいっているかどうか。狙い通りに進んでいるかどうかを判断する重要な指針となりえる。

 100人オープンセミナーに参加したのに10人しか選考に進まず、1人しか内定につながらないのであれば、多くの場合、採用活動に不必要なパワーをかけ、かえって非効率になっていると考えられるだろう。
  一方で、100人セミナーに参加し、80人が選考に進み、20人内定を出して採用活動を終了できたとしたら、それは非常にターゲットマーケティングができている事例と言えるだろう。

 読者の企業では、どういう採用活動を展開しているだろうか。セミナー参加者から選考に進む率、内定に至る率はどれくらいだろうか。これを機会に一度振り返って頂くのもよいことだと思う。もしかしたら、「不必要にたくさん集め、たくさん落としている」かもしれないのだから。

福井信英(ふくい・のぶひで)
慶應義塾大学在籍中にジョブウェブと出会い、インターンシップ生として働き始める。
大学卒業と同時に(株)日本エル・シー・エーに就職。経営コンサルタントとして、学校法人のコンサルティングに取り組んだことをきっかけに、2003年3月に(株)ジョブウェブに転職。
現在、新卒事業部の事業部長として、企業の採用活動のコンサルティングや学生を対象とした各種リサーチ、教育研修コンテンツの作成に取り組む。
1977年生まれ。富山県出身。
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