年末までのとりまとめを目指して、来年度予算編成はいよいよ大詰めを迎える。中でも、政策経費で最大となる社会保障予算がどうなるかが、焦点となっている。
2018年度までの予算編成では、閣議決定された「経済・財政再生計画」に基づいて歳出を抑制することとなっている。2015年6月に作られた同計画には、「安倍内閣のこれまで3年間の経済再生や改革の効果と合わせ、社会保障関係費の実質的な増加が高齢化による増加分に相当する伸び(1.5兆円程度)となっていること、経済・物価動向等を踏まえ、その基調を2018年度まで継続していくことを目安」とすると記されている。これに従えば、2018年度までは3年間で1.5兆円の増加に抑えることが、2017年度予算編成でも基本となる。
この「目安」は、消費増税が2019年10月に再延期された今、安倍晋三内閣がなお堅持している2020年度の財政健全化目標(基礎的財政収支黒字化)を達成するために、残されたほぼ唯一といってよい手段である。だから、これを覆すわけにはいかない。
社会保障費の自然増を5000億円に抑える
厚生労働省は、来年度予算の概算要求で、社会保障費の自然増を6400億円盛り込んでいる。単純に1.5兆円を3で割れば、1年で5000億円の増加に抑えることが目安となるため、来年度予算の中でどのようにして、1400億円分だけ増加させないようにするかが問われている。
11月17日に、財務大臣の諮問機関である財政制度等審議会は、「平成29年度予算の編成等に関する建議」を取りまとめ、「目安」を守り社会保障費の自然増を確実に5000億円に抑制するよう要請した。
もちろん、来年度予算で5000億円の増加に抑えられなかったからといって、前掲の「目安」を逸脱したというわけではない。2017年度予算と2018年度予算の2カ年で、1兆円の増加に抑えれば、前掲の「目安」は達成したといえる(ちなみに、2016年度予算では5000億円の増加に抑えることができた)。
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