医療介護ではどの費用項目が削られるのか 17年度予算編成で大詰めの社会保障費抑制

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<介護>
勤労世代が負担する介護保険料を所得に応じて保険料を負担する「総報酬割」の導入

介護の財源は40歳~64歳の勤労世代も保険料として負担している。その負担の仕方は、原則として人頭割なのだが、勤労世代が加入している保険の中では所得比例で(医療)健康保険料とセットで課されている。ただでさえ、人頭割であるため、低所得の勤労者の方が、より重い負担率となって逆進的な負担となっている。その上、同じ年収を給料でもらっていても、勤めている会社(で加入している保険)によって、平均的に給料が高い会社では保険料率が低く、平均的に給料が低い会社では保険料率が高いという不公平まで起きている。これを、どの会社に勤めても同じ保険料率になるようにする「総報酬割」に変更することが検討されている。ただ、平均的に給料が高い会社(で加入している保険)では、保険料率が引き上げられるため、経済界や勤労者が加入する保険者は反対している。もし、「総報酬割」の(部分的な)導入が2017年度に実施できなければ、前述した自然増の1400億円分の圧縮が困難となる。

介護でも高所得者の自己負担額を増やす方向

福祉用具貸与の見直し

要介護者は、車椅子や特殊なベッドなど、介護のサポートに必要な福祉用具を、費用の1割の自己負担で借りることができる。ところが、その貸与価格を、事業者が自由に決めることができるため、買った方が安いような値段で貸与するケースが散見される。今後は、こうした法外な価格をモニターし、過剰な給付の支払いが行われないようにしようとしている。

通常1割の自己負担を2割にする高所得者の対象拡大

2015年から、一定以上の所得がある高齢者は、介護保険での自己負担割合が2割になった。ただ、その対象者は、高齢者全体の20%ほどにすぎない。40~64歳の勤労世代も介護保険料を払って、高齢者の介護費の財源を分かち合っているのに、利用する高齢者の自己負担は大半の人が1割のままでよいのか。世代間格差是正のためにも、経済力のある高齢者には負担増をお願いしなければならないところである。その方向性では、ほぼ意見の一致を見ているが、2015年に2割負担が導入されたばかりで、対象拡大は時期尚早として反対する声が強い半面、医療では自己負担割合を、現役並み所得を持つ高齢者は既に3割としているのだから、介護でも現役並みの所得を持つ高齢者は3割自己負担とすべきとする案が出されている。

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