配偶者控除、結局は「小幅な修正」だけだった

期待されていた大改革からは程遠い内容に

女性の働き方を制限するような控除の壁を廃止することが必要だ(写真:プラナ/PIXTA)

12月8日、自民党と公明党は「平成29年度税制改正大綱」を取りまとめた。来年度の税制を画する重要な意思決定となる文書である。例年、来年度予算編成の過程で、12月上旬に与党で取りまとめて、後に政府が閣議決定する。両者の違いは、与党大綱では、例年、議論の経緯を踏まえ、第1に基本的考え方、第2に具体的内容、第3に検討事項と3部構成となっているのに対し、政府大綱ではこの第2部のみが閣議決定される。

今回の税制改正大綱の1つの目玉は、配偶者控除の見直しである。本連載記事「配偶者控除見直しで焦点となる増減税の境目」でも取り上げたが、結局どうなったのだろうか。

結論からいうと、配偶者控除を大幅に見直すことはしなかった。控除の適用者を拡大するとともに、高所得者の控除適用を制限するというものになった。

所得税の控除の見直しは、平成の歴代政権はほとんどといってよいほど手をつけられないある種「鬼門」だった。控除を見直すと、誰が増税になるか疑心暗鬼となり、党内からの反対が出かねない。唯一の例外は、給与所得控除の適用額に上限を設けることぐらいだった(民主党政権期に始まり、第2次安倍内閣でもこれを踏襲した)。所得税の控除を見直すことは、政治的には容易でないという構図を、今回も依然として引きずっていたのかもしれない。

そうだとすれば、大幅な見直しではなくても、今後の所得税改革に道を開く重要な第1歩になるものといえよう。ただ、とても完成形といえるような内容ではない。

配偶者控除と配偶者特別控除が壁をつくる

この連載の過去記事はこちら

そこでまず、現行の配偶者控除がどうなっているか確認しておこう。

配偶者控除は、扶養する配偶者1人につき38万円の所得控除(70歳以上の人は48万円)として、納税者本人に与えられる。ここで他意なく、納税者本人を夫、扶養される配偶者を妻としよう。配偶者控除の適用対象となる妻がいる夫は、自らの課税対象となる所得(課税所得)が38万円減らせて、その分所得税が少なくて済む。その対象となる妻は、給与を稼ぐ人なら、課税前年収は103万円(=38万円+65万円)以下となっている。ここの65万円というのは、給与を稼ぐ妻本人に与えられる(最低限の)給与所得控除である。

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