おカネは「袋分け」に管理しないほうが良い 「目的別」に資産運用するとカモられるかも
家計管理の方法として「袋分け」という有名な方法があります。FPの人でこれを知らない人はいないでしょうし、実際に実践している人も多いと思います。これは支出を「食費」「通信費」等の項目別に分けて管理するやり方で、封筒等におカネを分けて置いておき、それぞれの項目に該当する予算の金額を実際に入れておき、そこから支出するというシンプルな方法です。
「袋分け」の支出管理は本当に節約効果があるのか
私はこのやり方があまり効果的とは思いませんが、支出管理の手段としては古典的な手法として今でも人気があるようです。確かに項目別にあらかじめ分けておくということは、計画的な支出ができるというメリットはあります。いわば行動経済学で言う「メンタル・アカウンティング」を実際に形にしたようなものですから、不合理な心理の揺れによって無駄な支出をせずに済むということは言えるでしょう。
ただ、逆に言えば、予算化したことによって「予算内であれば安心して不要なものまで買ってしまう」という危険性もあります。それにおカネというものは、まとまって持っていると使うのに慎重になる反面、小さい単位であればあまり気にせずに使ってしまうという心理的な傾向もあります。
たとえば1万円札だと崩すのが惜しいのでコンビニでちょっとした小物を買う時にも慎重になるけれど、いったん崩してしまうと使うのに抵抗がなくなって、なくなるのが早いと感じるのと同じことです。また、実際に袋分けをやってみるとまず長続きしないという意見もよく聞きますから、「どこまで効果があるものやら疑問だ」というのが私の考えです。
とはいえ、支出管理について言えば一定の効果はあると言えるでしょうが、絶対にやってはいけないのは資産運用の「袋分け」です。もう少しわかりやすく言い換えれば目的別におカネを貯めたり、運用したりするということです。
ところがこれも実はよくありがちなのです。「子供の入学資金は学資保険」とか「老後の備えは個人年金保険」といった具合に、目的別におカネを運用したり、金融商品を購入したりしましょうと勧誘してくる金融機関は結構あります。
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