個人型年金、銀行・証券の熾烈な口座獲得争い ネット証券が「超低コスト」武器に本格参入

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2017年1月から原則として現役世代の誰もが個人型確定拠出年金を利用できる(写真:xiangtao / PIXTA)

数年前、金融機関がNISA(少額投資非課税制度)の口座獲得競争を繰り広げたことは記憶に新しい。NISA口座はひとり1つしか開設できず、また4年間は同一金融機関で口座開設しなければならないことから、各金融機関は口座獲得にしのぎを削った(その後規制緩和で4年規制は解除されている)。

結果として、この競争は多くのNISA口座の開設につながった。2016年3月末の段階で口座数は1012万と1000万口座を突破した。買い付け額も7.7兆円になる。口座数の53.8%、買い付け額の59.6%を60代以降が占め、高齢富裕層に利用状況が偏っているのは課題だが、ひとまず制度として普及・定着がなされたとみていい。

個人型DCの口座獲得競争が始まる

実は金融機関各社では2016年末にかけて「NISAの次」の口座獲得合戦の準備が進められている。個人型確定拠出年金(以下DC)がそうで、本年5月の法律改正により2017年1月から原則として現役世代の誰もが利用できるようになるからだ。

個人型DCは、個人型「確定拠出」年金という名称のとおり、定期的に払う掛金の額だけが決まっていて、受け取る金額は未確定というものだ。掛金が所得控除されるなど、税法上の手厚い優遇措置がある。これまでは企業年金のない会社員約2000万人や自営業者等約1740万人のみが利用できた。

今回の改正で特に注目されているのが、これを公務員約440万人と、企業年金のある会社員約1050万人、専業主婦(国民年金の第3号被保険者)約930万人が利用できるようになることだ。これにより6000万人を対象とする制度に拡充される。野村総研のレポートによれば、940万口座の開設可能性があるとされている。

今までは個人型DCの利用対象者が限られているため、銀行窓販の現場では投資信託セールスが優先されても、個人型DCの口座獲得が重視されることはほとんどなかった。しかし、今後は現役世代であって、企業型DCに加入していなければ、提案対象となりうるため、金融機関のセールストークも行いやすくなる。

特に地域系金融機関などは都道府県・市区町村の公務員の給与振込口座を多く抱えており、個人型DCの口座もあわせて獲得したいと期待が大きいようだ。

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